じっちゃまメモ2021年6月18日 楽天証券セミナー

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【ライブ配信】広瀬隆雄氏「乱高下の米株市場、コロナ後の相場の見通しと注目銘柄とは?」(6月18日開催)の備忘メモです。ざっくりとしたメモになっています。詳しくは番組をご確認ください。

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本記事は情報の整理を目的としております。

じっちゃま(広瀬隆雄さん)メモ2021年6月18日 「乱高下の米株市場」乱高下のコロナ後の相場の見通しと注目銘柄は

6月15-16日のFOMCを終えたタイミングでした。

※FOMCはひとことで言えば「2023年の利上げ予想が高まった」「テーパリングしないという従来のスタンスがなくなった」という内容でした。

「乱高下の米株市場」乱高下のコロナ後の相場の見通しと注目銘柄は というタイトル。

結論。米国経済は極めて強い。

FRBは強い経済を見て方針転換をしている。今のところは緩和政策を取っているが8月頃をめどにテーパーリングが始まりそう。(後述)

テーパーリングは金融引き締めに他ならない。株式にとって難しい局面。

7月の相場は上を見ているが、8月はジャクソンホールシンポジウムあたりから転換点になり、9月、10月は難しい相場になる。以上が結論。

米国経済の現状について

米国経済は好調。

6/16終了のFOMCで18名のFRBメンバーの予想した今年のGDP成長率は+7%のコンセンサス。非常に非常に非常に強い数字。むしろ今が成長のピークで今後の鈍化を心配しなければならない局面。

脱線になるが、シクリカル株は景気拡大局面の前半では市場平均をアウトパフォームすることで知られている。しかし、景気拡大の後半局面では逆に劣後すると知られる。

今は素材部は利食いしたほうが良いと思う。

今回FOMCではFFレートは現行(0~0.25%)が維持された。債券買い入れプログラムも当座は米国財務省証券毎月800億ドル、住宅抵当証券毎月400億ドル、計1,200億ドルの買い入れに変更なし。

しかし、債券買い入れプログラム縮小=テーパーリングはそろそろ始まると思う。

言い換えればこれまでのFRBのスタンスは「テーパリングを考えはじめることすら考えていない」という表現だったが、今回その表現をバッサリやめた。

そのかわり、ある時点でテーパーリングを開始するという意図をはっきり伝えた。これは大きなスタンスの変更。

テーパリングに関してはマーケットを動揺させないよう、ずっと早い段階で発表し、実際のテーパリング開始までに市場参加者がポートフォリオの調整を行う時間的余裕を持たせている。

これまでFRBはインクルーシブな労働市場の回復がみられるまで、緩和方針を変えないというメッセージだった。インクルーシブ=みんな仲良し、含める。という意味。具体的には黒人・ラティーノ・低学歴・社会的弱者も雇用につけるような緩和の継続、これがインクルーシブな労働市場の回復ということに込められたメッセージで一番重要なFRBのメッセージだった。

今回インクルーシブな労働市場の回復という言葉が一切使われなかった。その代わりFRBは 労働市場は既に力強く回復した。今後もこの勢いが続くだろう。という風に発言している。

それは、政府の後押しはもう必要ない、ということを匂わせている。

言い換えれば、これまではFRBは失業率の改善に主にフォーカスしていたが、物価の軟着陸にシフトする、というわけ。

今回のFOMCは経済予想サマリー(略してSEPと呼ばれる)参考資料が添付された。

FRBのメンバー18人がそれぞれがアンケートに答え、それぞれ思い思いのGDP・失業率・FFレート・インフレ予想を書き込むアンケートの平均値になる。

それを見るとFFレートは2023年~利上げが始まるというアンケート調査。これは新しい展開。

加えてPCEインフレ率は2021年末の数字が3.4%に上方修正された。

FRBの議会から示されているターゲットというか目標はインフレ率を2%に収めろ、という使命(=マンデート)を帯びている。

しかし、今年のインフレ予想が3.4%だと、かなり締めていかないと2%で着地しない。

FRBがこれまでの雇用→インフレにフォーカスをシフトしていることはそういう原因がある。

引き締めにあたり、最初に着手するのは現在行われている債券買い入れプログラムを徐々に縮小していく必要がある(=テーパリング)。

過去、FRBが大きな方向転換(緩和→引き締め のような政策変更)をするときは、まず今年は8月26日あたりにあるワイオミング州ジャクソンホールのシンポジウムでメッセージを出す、ということが行われてきた。

今年もジャクソンホールシンポジウムでテーパーリング開始が宣言される可能性があると考えている。

米国経済の現況を見ると、

貯蓄率が新型コロナでジャンプし、国民の手元にはキャッシュがある。

家計のデッドサービス(デッド=負債 サービス=元本や金利の返済。 国民の借金の返済負担)は低くなっている。昨今の低金利の関係。

この2つの理由により家計に余裕がある。それは消費が伸びやすいということを意味する。

非農業部門雇用者数は4月、5月は市場予想をちょっと下回る。

失業率は現在5.8%。ここへ来て改善のペースはややスローダウンしているように感じる。

賃金は5月の平均時給は+15%。つまり、賃金上昇プレッシャーが少し見られる。経済再開で企業が雇い入れを増やそうとしているが、なかなか良い人材が来てくれないので賃上げをしている。働く人から見ると歓迎すべきだが、FRBの立場からすれば生産性の向上が無い状態で賃金だけがスルスル上昇するという状態はインフレ期待が固定化して、しつこくなるという状況に他ならず、危険な状態。

こんかいのFOMCでFRBが雇用のさらなる拡大をあきらめてフォーカスをインフレに移した理由はこのあたりにあると思う。

人種別失業率は、かつてFRBはインクルーシブな雇用の成長を強調していたが、黒人の失業率は高止まりしたまま。いままでこれを理由にFRBは金融引き締めをしてこなかったが、物価のほうが寄り急に上昇しているので、インクルーシブなグロースという目標を放棄せざるを得なかった。

学歴別失業率でも同様のことが言える。中卒の失業率が他の失業率より高い。FRBのなかではパウエル議長、ラエル・ブレイナード理事・サンフランシスコ連銀総裁がインクルーシブなグロースに心を砕いている。それらのメンバーの発言権が過去においては強かったが、今は状況が変わってきて「いくら何でもインフレ5%とかまずいよね」という雰囲気になったので、これまでの「頑として緩和だ」というメッセージから近くテーパリングに移るというメッセージに変わった。

投資ストラテジーについて

FRBがテーパリングを始めると市場参加者はマーケットの乱高下をある程度予測せざるを得ないと思う。

難しい局面を迎えるということ。

7月はまだ大丈夫と思う(7月はテーパーしないので)

でも、8月の下旬にジャクソンホールシンポジウムが開かれる頃にはマーケットは要注意だと思う。9-10月は結構苦しい相場になるのではと思う。

1950年までさかのぼったS&P500の月次パフォーマンス平均を見ると、7月は例年相場が高い。しかし、8-9月は悪い。今年も例年のパターンを踏襲すると私は考える。

以上が全体の話。

参考銘柄 BIIB バイオジェン MQ マルケタ ZM ズームビデオ OKTA オクタ DOCU ドキュサイン

BIIB バイオジェン

今非常に話題になっている銘柄。ボストン本社の老舗バイオテクノロジー企業。

アメリカで毛並みのいいバイオテクノロジー企業というと、西はジェネンテック(サンフランシスコ国際空港の近くに本社。今はスイスのロシュの子会社。バイオテクノロジー産業の草分け的存在。)

その関係で南サンフランシスコにはたくさん、たくさんのバイオテクノロジー企業がある。その経営者のほとんどがジェネンテックOBで、大きな城下町を形成している。ジェネンテックはUCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校 ①医学に特化②大学院しかない 大学でバイオテクノロジーの研究に関して非常に進んでいる)と親密でイノベーションのドライバーになっている。

カリフォルニア州をもう少し南に行くとロサンゼルスがある。ロサンゼルスには差う山とオークスという街にアムジェンがあり、非常に毛並みのいい歴史あるバイオテクノロジー企業。

ジェネンテック、アムジェンが西海岸のリーダー企業。

それに対抗する形で東海岸はボストンにバイオジェンがある。

バイオジェンは歴史的にMIT、ハーバード大学と結びつきが強い。東のバイオジェン、西のジェネンテック。そういう構図。近年はバイオジェンはイノベーションが少なかった。毛並みのいい企業だが影が薄かった。

でも今回アルツハイマー治療薬「アデュカヌマブ」がFDAから承認された。これは大きな、大きな、大きなイベントと思う。今回のニュースを見た時、イーライリリーがプロザックという、うつ病の薬をだしたことを思いだした。

それまで抗うつ薬は進歩が無く、リチウムなど鉱物から取れた薬しかなかった。しかし、プロザックが登場したことで新しい抗うつ薬が続々登場し、イノベーションが加速した。うつ病薬というカテゴリー全体が急成長した。

それと同じことがアルツハイマー薬にも起こり得ると考える。

ただ、今回のバイオジェンの承認は非常に異例。FDAは新薬を承認する際、外部の識者による諮問委員会、アドバイザリーパネルというか、そういう意見を参考にする。普通諮問委員会で圧倒的多数の承認を得た薬が承認される。ところが、アデュカヌマブは諮問委員会では評判悪く、圧倒的に否定的だった。否定的な理由はひとことで言うと、薬効のエビデンスが無い、ということ。

ただアルツハイマーは診断が難しく、快方にむかっているかの進捗を見るのも難しい。たとえば皮膚病なら患者の皮膚を見て目で確認することや痛みを伴う疾病であれば薬が効くかを確認することが出来る。アルツハイマーは頭の病気なのではっきりと進捗が分からないという問題がある。

アルツハイマーの原因についてはかなり究明されていて、アミロイドと呼ばれる物質のプラーク(歯垢のような垢のようなもの)が脳細胞の周りに固まってシグナルを阻害することが原因といわれている。

ところが世の中には年をとっても頭脳明晰で全然ボケない人もいる。そういう人の頭を調べると、アミロイドプラークを破壊する抗体を持っていることが分かった。抗体を人工的に量産して、アルツハイマーの人に投与することでアミロイドプラークを打破するというのがバイオジェンのアプローチ。

わかっていることは治療でアミロイドプラークの進行を止めることはできた。ではボケが治ったかというと判定できなかった。そこでFDAと諮問委員会の意見対立が先鋭化した。こんかい諮問委員会が圧倒的にNOだったが、FDAは承認した。

FDAの考えは何かというと、アミロイドプラーク除去が確認できるなら、たくさんの被験者に投与してデータを取ればおのずと成果は実証されるだろうというのがFDAの立場。

今回の承認はいわゆる繰り上げ承認といわれる仮承認。条件が付いている。バイオジェンは薬を販売したとき、追跡調査をし、データを収集して、データをFDAに持ってきて正式承認しましょう、という承認だった。

それに対して、諮問委員会や医学会は手堅いやり方ではない、博打だ、と反対している。

医療保険の話をすると、そもそもこの人はアルツハイマーか、という最初の診断するとき頭の中のアミロイドプラークを測定するには①脳のスキャンをする②脊髄の液を細い針で取ってそれを分析する といったテストが必要。それらのテストはものすごくお金がかかる。100万円。しかも保険が下りない。

いま治療薬が無い(解決策が無いとわかっている状態)でアルツハイマーが疑われる患者が自腹で100万円かけてテストをするインセンティブが全くない。だからアルツハイマーが進行して本当にボケがひどくなる段階でないとそういう事をしない。

アミロイドプラークはたまり始めた最初に薬を投与し、キレイにしたほうが効果がある。効き目からすると早く投入するほど良い。でも今の医療保険の制度がアグレッシブな使い方を阻んでいるという話をしている。

そのためにFDAがやらなければならないのは患者に希望を与えることが最初じゃないか。良いお薬があるならテストしようか、という話をしている。

アデュカヌマブの売上高予想はかなりデカくなると思う。100億ドル。これはブロックバスター薬。FDAの承認の条件を見た場合、実際どのような患者に投与すべきか、保険の払い戻しはどうなるかという細かい運用についてはほとんどガイドラインが無い。アメリカは医療保険が高いと知られる。しかし、65歳以上になると国の医療保険メディケアと呼ばれる高齢者むけ保険に加入することが出来る。僕は今フロリダブルーという民間の保険に入っているが、あと3年くらいでメディケアに移ることが出来る。そうすると医療費が下がる。

普通新薬が出されると、薬の成功するかどうかのカギを握るのが保険会社。保険会社がそのお薬は払い戻しする、とかしない、とかリーンバースメントの対象になるか。でもアルツハイマーの薬はユニークで患者のほとんどが65歳以上、つまり国の保険でカバーされている人たち。そういった民間保険会社のカバレッジの問題は今回はあまり問題にならない。

重篤なアルツハイマーの患者はアメリカに200万人いると言われている。これだけでもすごい数字だが、軽い人も含めるとその数は600万人になると言われている。その600万人がアルツハイマーのお薬くださいと殺到すると政府としては大変な出費になる。ここが大事なところだがアメリカの老人は大好き。600万票というのは大票田。何が言いたいかというとアルツハイマー薬は中間選挙の争点になるかもしれない。もし中間選挙で改選される民主党とか共和党とかの議員がメディケアのアルツハイマー薬の払い戻し、リーンバースメントに関してネガティブなことを言ったら政治生命がそこで断たれると思う。老人からの支持が得られないから。今回のバイオジェンの承認は異例か、というと異例、すごくイレギュラーだが、元に戻される、承認されないように戻るかというとその可能性はゼロ。

もっと言うとアメリカは国として老人のケアの問題を(アプローチとしては老人ホームとか介護施設付き高齢者住宅とか大きなサービスの受け皿で各国取り組んでいるが)その負担のかなりの部分を薬で解決するという政治的な判断が出たということを説明したい。施設からお薬へ、と負担のシフトが起きるという話、それを理解しないとバイオジェンのストーリーは理解できないと思う。

過去20年間アルツハイマーの新しいお薬はゼロ。承認されなかった。その間アルツハイマーの新薬候補は140もの候補があった。今回、こういった形でバイオジェンの薬が承認されたのはダメだった途中で放棄したプロジェクトを再トライしてみようと、新しいアルツハイマー薬への挑戦が再始動する可能性が非常に強い。バイオジェンの成功はこれが最後ではない。柳の下の2匹目、3匹目、4匹目のどじょうが今後出てくる、という話をしている。

セクターとして薬品株とかバイオは人気になると思う。

MQ マルケタ

最近IPOされた銘柄。ドアダッシュ、アファーム、スクエアなどのサービスの背後にある決済プラットフォームの会社。

マルケタのプラットフォームを利用すると企業は簡単にプリペイドカード、デビットカード、クレジットカードなど各種カードを発行することが出来る。

これまでのクレジットカードのインフラストラクチャーは主にメインフレームコンピューターの上に構築されていた。つぎはぎだらけのソフトウェアコードで書かれた、硬直的で画一的なシステム。

カードによる支払い、取引台帳の管理はイシュワープロセサー(発行処理者)と呼ばれ、カードを発行する銀行の中のインフラストラクチャーの中に存在した。

それぞれ独自のシステムだった。

これに対しマルケタのカード発行プラットフォームはそのシステムを個々の企業の外に出してクラウド上で構築している。最新のプログラミング言語で書かれている。

だから、だれでも利用可能で、銀行も、フィンテックもWeb企業も利用できる。

そうやって出されたカードは従来のネットワーク(ビザ、マスターカード)にのっけて決済することが可能。

オープンAPIを利用している。カードの発行者が自分のカードに追加レイヤーを加えることで色んな利用形態をデザインすることが出来る。たとえば、カードの利用状況に対して詳細のレポートが欲しいというのであれば、そういった事も埋め込むことが出来る。

実際の例として、ドアダッシュ(ウーバーのような宅配の会社)にはダッシャーという配達員がいる。誰かが出前を注文してドアダッシュのアプリで料理を注文すると、ドアダッシュの本社から配達員に連絡が行く。レストランに一番近いダッシャーがレストランに急行、料理をもらうとき、クレジットカードのような形をしたレッドカードと呼ばれるダッシャー向けのカードを店の人に渡す。そうすると店の人はクレジットカードのように通して支払いを済ませる。あたかも一般個人がレストランで買い物をするようにドアダッシュのダッシャーが決済する。そうすると、その時にお金がカードが入ってなければいけない。それはどう処理しているかというと、ドアダッシュに消費者がアプリで注文したときにクレジットカード決済されるが、そのお金を瞬時に配達員のカードにシフトする。それで決済をする。ダッシャーはそういった形で料理をもらって届ける。届けが終わったら配達員のレッドカードは料理の決済だけでなく、活動実績の記録の役割も果たす。これがマルケタのカードの利用例。

この例からもわかるように、従来のクレジットカードやデビットカードのように、個人の銀行口座と仕事の配達が「ちゃんぽん」になるリスクが無い。配達の直前にお金を送るので、資金効率の観点からするとドアダッシュの運転資金、回転資金が無駄にならず、最小限で済む。しかも個々のダッシャーの成績も取れる。こういう風に企業によってカードの使い方を自由に規定できる。この柔軟性が、従来のメインフレームコンピューターで作られているクレジットカードとは全然違うという話をしている。

これまでに発行されたマルケタのカードは3.2億カード。どうやってマルケタが対価をもらっているかというと、クレジットカードやデビットカードを処理するとき、インターチェンジフィという手数料が取られるが、インターチェンジフィの一部をマルケタが受け取る。決済ボリュームに連動するビジネス。

実績として2020年は600億ドルのトランザクションを処理した。リテンション率は200%と顧客のリテンション率は非常に高い。もっというと一度顧客にしたらその顧客にたくさんの付加価値サービスを追加して売っている。

2021年の3月末で締めた四半期にマルケタは240億ドルのTPV(トランザクションボリューム)を処理した。前年+167%。売上高は2020年通年2.9億ドル+103%。

難点を言えばマルケタの客は偏っていてスクエアが70%を占める。1社に占める比率が多すぎるのではと批判する人が居るがその通り。それはマルケタがズルいことをやってそうなったのではなく、スクエアキャッシュというアプリがメチャクチャ×3、大大大成功したことが原因。

もっと言うとスクエアの本質はマーケティング会社。テクノロジーはすごいんじゃない。テクノロジーは、裏方はじつはマルケタがやっている。その点を含みおきください。

ZM ズームビデオ

2021年1Q決算は良かった。

EPS予想¢98 結果$1.32 売上予想9.08億ドル 結果9.56億ドル(前年+191.4%)

満足しない投資家が多い、その前は前年比+300%で成長していた。

ズームビデオは被害者。犠牲者。何が被害かというとあまりにも成功しすぎたのは新型コロナの恩恵であり、成長が止まると言っているアナリストが多いが、全然間違っている。

なぜかと言うと動詞になるサービス、たとえば「ググれば」=Googleという言葉があり、検索して調べるがググるという動詞になっている。Zoomも「Zoomしようか」、と動詞になっている。

動詞化しているウェブサービスは強い。ちょっとやそっとじゃなくならない。

「Teamsしようか」といってもよくわからないと思う。(少数派と思う)

世界のスタンダードはZoomなのだから、企業が解約するということは有りえない。

なぜかと言うと経営者はROI、自分があるサービスに対してお金を払う、投資に対してどれだけ見返りがあるかを見ている。ZoomのROIは企業にとってメチャクチャ、メチャクチャ高い。解約する理由が無い。

経済再開したからZoom解約しようか、とマジで検討する人はマジで、テクノロジーに疎い人。日本には、いるかもしれない。日本はDigital defeatと世界から呼ばれているらしく、僕は怒りが込み上げてきたが、新しいツール、テクノロジーへの嗅覚が失われつつあることに危機感を思っている。

Zoomは買いですよ。Zoomは買い。

OKTA オクタ

決算は良かったがガイダンスが予想を下回った。それについて説明する。

EPS予想-20¢、結果-10¢、売上予想2.39億ドル。結果2.51億ドル(前年+37.3%)

RPO(残存パフォーマンス義務)+52%(今の売上成長より将来の貯金、受注残がもっと急に成長している)

全然問題ない会社なのにEPS予想がなぜ下方修正されているかが、皆ひっかかったところ。かみ砕いて説明する必要がある。

前回の決算発表でオクタはAuth0を買収、これは非常にいい買収。Auth0の買収によりアドレサブルマーケット=ターゲット市場が2倍になった。何をやっている会社かというとアイデンティティマネージメントサービスのソフトウェアをディベロッパーに提供する会社。オクタも実はそのビジネスをやっている。

しかし、オクタはまず経営トップにそういったカスタマーアイデンティティソリューションをセールスするというトップダウン方式。Auth0は現場、エンジニアにサービスをしてビジネスを増やすボトムアップの方式。

なぜオクタがトップダウンかというとアイデンティティマネージメント、つまりこのアプリ、このサイトに関しては誰と誰にアクセス権を与えるか、という入室管理をやっているのがオクタだが、企業の仕事の大部分がクラウドに移った場合、入退室管理がしっかりしていないと、「誰が参加していて、どこまでの権限を持ち、どこまで秘密を知れるのか」ということをしなければならないが、ウェブの管理からするとハイレベルなものでトップダウンになりやすい。

要するに営業のアプローチが違う。

なぜアナリストの予想値に狂いが生じるのかを説明すると、Auth0はビジネスを獲得する際、最初の持ち出しが多い。なぜかというと、自社のエンジニアリングリソースを費やし、お客様のディベロッパーといっしょに作業してソリューションを作って、それに対してお金をもらっていく、最初は出費、その後は回収というビジネスモデル。オクタのビジネスにはそれが無い。前回の決算発表でAuth0の買収が発表されたが、その時はマーケットが増え、売るものが2倍なら売上も、利益も上がるだろうとアナリストは数字をはじいた。しかし、オクタの会社側もっというとCFOの説明不足でAuth0の持ち出しに関する説明が足りなかった。だからガイダンスが悪くなっている。ではビジネスがスローダウンしているかというと、加速している。費用が増えているかというと増えていない。

このガイダンスの下がり方は、アナリストに対する当初の提示の仕方が悪かった。その責任を取らされる形でマイク・クーレというCFOがクビになっている。アメリカは厳しいビジネス社会なので、こういうチョンボがあったらクビになる。僕はクビで当然と思う。それくらいアメリカの経営は真剣勝負。

オクタのビジネスは悪いことは何もないという点を理解いただきたい。

DOCU ドキュサイン

今回の決算で「およ?」と注目される決算だったと思う

EPS予想28¢、結果44¢

売上予想4.38億ドル 結果4.69億ドル(+57.9%)

サブスクリプション売上4.52億ドル(+61%)

大企業ががっつりドキュサインのドキュメント管理ソフトウェアを使っている。大企業の食い込みが、利用率が増えている、今は面白いように業績が伸びる局面。この手のSaaSではサブスクリプションでの契約形態が多い。サブスクリプションだと将来の売り上げが読みやすい。

ドキュサインも契約はサブスクリプションだが、使った分だけ請求するという従量課金コンポーネントがある。経済再開でみながオフィスに戻り、複雑なタスクをし始める。いよいよドキュメント管理システムがフル稼働しはじめている。

なぜドキュサインの成長率がここにきて加速している印象があるかというと、使った分だけの請求がキックインしているということが言える。

もう一回今日の結論を繰り返すと

米国経済は極めて強いです。FRBはこれまで緩和的金融政策を取ってきたけれども変更しました。8月くらいから引き締めが始まります、テーパリングです。

株式にとって難しい局面が来ると思う。8・9・10月を心配している。7月はちょっと高いと思うが、今から入って1回転取れるかというと、わからない。

質疑

一問一答形式です。

PFE ファイザー

強気。薬品株は全部買いだと思う。

DKNG ドラフトキングス

ヒンデンブルグリサーチという会社がネガティブなレポート。しばらく前にRIDE ローズタウンモーターズにネガティブなレポートを書き、当たったので注意。

ドラフトキングスはSBテックの会社を買収、SBテックエンジニアリングチームは東ヨーロッパか何かに本拠地があり、いろいろアンダーワールドというか黒い世界とのつながりを言われている。

ドラフトキングスはそれが欲しくて、黒いつながりが欲しくて買収したのではなく、オンラインカジノあるいはスポーツベッティングのエンゲージメント(エキサイティングな、手に汗握る)コンテンツ作成には自分で加工できるエンジニアニング力を取るために買収した。

ドラフトキングスはそれが欲しくて、黒いつながりが欲しくて買収したのではなく、オンラインカジノあるいはスポーツベッティングのエンゲージメント(エキサイティングな、手に汗握る)コンテンツ作成には自分で加工できるエンジニアニング力を取るために買収した。しかし、SBテックには黒い過去がある。

ここが注意しなければならない点だが、通常アメリカで火事のライセンスが承認される場合、まず最初に行政がチェックするのはこいつらマフィアとつながっているんじゃないか、とかマネーロンダリングとか、扱っているものが常習性、嗜好性のあるものを取り扱っているので監督当局も神経質になる。

その時にSBテックに黒いうわさがあるということは少しハンディキャップかなと僕は思う。実際これがどのくらいネガティブなインパクトかは僕には測りかねる面があるが、一般論として言えばカジノとアンダーワールドというのは常にアンカンファンタブル、居心地の悪い関係なので、あんまり近寄らないほうが良いよねという風に思う。

それと、裁判云々の話をすれば、アメリカで2つホントに恐ろしいパワフルな法律があって一つはリコと呼ばれるもの(暴力団を取り締まるもの)、もうひとつがワイヤーフロード(電信詐欺、通信とか電報に関する法律)。この2つは法律の解釈範囲がものすごく広くあてはめれらるように設計してある法律。その関係でこの2つの法律のどちらかを当てはめれば大抵の被告は有罪にできる法律。

たとえばドレクセルバーナムという証券会社があってそこにマイケルミルケーと呼ばれるジャンクボンド・キングがいて彼がジャンクボンドをどんどん企業に発行させて、その資金調達でライバル企業を買収するということをどんどんやらせた時代が1980年代にあった。

その時にアメリカの政府が「ドレクセルバーナムけしからぬ、あれは実質的に暴力団と一緒だ」というかたちでRICOという法律を当てはめ、ドレクセルバーナムを有罪に追い込もうとした。それで投資家がパニクって、ドレクセルバーナムにだれもお金を貸さなくなり、ドレクセルバーナムが潰れた事件があった。

暴力団とのつながりは一つ間違えば資金繰りが一瞬で断たれるリスクがあるもの。何もないと思うがあまりバカにしてかかってはいけない。という話をしている。

同様にワイヤーフロード(電信詐欺)も非常にパワフルな法律で、ほとんどの金融犯罪がワイヤーフロードチャージによって有罪にされている。

ドラフトキングスのビジネスはみんなに賭けてもらってお金を買った人に分配するというお金を集めては再分配するビジネス。そういうワイヤーフロード法との絡みは気を付ける必要がある事業形態と僕は思う。その2つの理由からこの問題は軽視していない。

HMY ハーモニー

金鉱株。南アフリカ3位の産金会社。

FRBが方向転換して金融緩和ではなく引き締めを準備するようなメッセージをFOMCで発した。引き締めサイクルは材料出尽くしではない。スパーンとやられるのはこれから。ゴールドという原資産が一番輝くのは手におえないインフレが起きた時。その時ゴールドがアウトパフォームする。しかし、FOMCでパウエル議長がインフレを退治するようなメッセージを出した後、マーケットはどうなった?長期債の利回りは下がっている。債券の市場参加者は①パウエルがインフレ退治するというなら、インフレは退治されるに違いないと判断している あるいは②パウエルが必死になるなら景気はこれから悪くなるかも、ということで債券が買われているのかもしれない。

いずれにせよ、これらは手の付けられないインフレとは全く逆。だからFOMCの直後からゴールドがアンダーパフォームしている。今ゴールドを買うことはDon’t Fight the FED (中央銀行に逆らってもしょうがない)というウォール街の格言からすると、戒めるべきことと僕は思う。

NCLH ノルウェージャン・クルーズライン

良いか悪いかでいうと良いと思う。

クルーズの3番手。①カーニバル、②ロイヤルカリビアン、③NCLH ノルウェージャン・クルーズライン

規模でいうと大雑把に3:2:1くらいのスケールの違い。

なぜ注目する必要があるかというと、ターゲットマーケットがちょっと違うということが指摘できる。カーニバルは一般大衆。中流向け。ロイヤルカリビアンもそういう色彩が強い。ノルウェージャンにはリージェントその他のハイエンドのクルーズのブランドがある。船の大きさは他のライバル企業より小さい。スタッフは他のクルーズより多い。だけれども客筋が良い。客筋が高級な客。客単価が、7倍、8倍、9倍のことも多々ある。それがノルウェージャンの切り口だと思う。

弱点としては負債が多い。バランスシートが3社の中で一番汚い。ということがあると思う。それと操業効率、スケールメリットを出しにくいサービスストラクチャー。何を言っているかというとヨーロッパ周遊とか世界周遊とかが多い。何を意味するかというとスタッフが空の移動をして入れ替えをするなど、従業員の交通、入れ替えなどに対する費用がノルウェージャンの場合、カーニバルに比べ多いと僕は思う。

逆の面で説明すればカーニバルがなぜ恐ろしいかというと、カーニバルのクルーズはぐるぐるカリビアンのあたりを回っているだけ。クルーズというのは昔はディスティネーション、たとえばイギリスのサウスハンプトンから出港し、ニューヨークに行く、目的地、目的があるのが昔の船の旅。

それに対してカーニバルは船が凄いんだから、船を楽しんでもらえばいい。行先なんかのその辺をぐるぐる回っていればいいじゃん、ということに最初に気が付いた会社がカーニバル。だから素晴らしい会社。

何を意味するかというと、サービス拠点がマイアミにあって、マイアミで船をキレイにして食材を詰め込んで、乗客を積んで、カリブ海を回ってマイアミに帰ってくる。そうするとロジスティックス的に全然スタッフの移動を考えなくていいので効率がいい。それがノルウェージャンとかなり違うという話をしている。

WFC ウエルスファーゴ

僕の好きな銘柄だったけれども今は少し良くないかな、というか利食いだと思っている。

ひとつの理由はSupplementary Leverage Ratio=SLRが問題になったとき、つまり銀行がバランスシート上にどのくらいリスクアセットをのっけてOKか、自己資本に関するルールの一つがSLRだが、そこに何を算入していい、してはいけないというのがあって、その関係でメガバンクが財務省証券に積極的に入札時に応札できないという事件が3か月前にあった。

それに対する一つの解決方法は、いまペナルティボックスに入っているウエルズファーゴに総量規制を解除すれば、ウエルズファーゴは大きな銀行だから、彼らが財務省証券に応札することで、全体的なひっ迫感が緩和されるという議論から、ウエルズファーゴのペナルティボックス免除になるか、お許しをもらえるか、ということがありひたひたと株価が上がってきた。

でも今はどうなっているかというとアメリカの米国債に対する世界からの需要は一時期、春頃落ち込んでいたが今ものすごく戻っている。だから入札に対してギクシャクするという余地はあまりない。それはSLRの変更に関する議論も随分後退している。それはもっと言えばウエルズファーゴへの総量規制もずっと先送りになる、9月とかにプッシュバックされる可能性がある。

今ウエルズファーゴの株価が下がっているのはそういう事だと思う。

RPRX ロイヤリティファーマ

薬品株に入ります。ディフェンシブな性格を帯びている。不況に強い。

もう一つ大事なことがRPRX ロイヤリティファーマに最近起こった。それは何かというと中小のバイオテクノロジー企業が、ライバルの中小のバイオテクノロジー企業を買収するとき、その資金繰りを「うちに面倒見させてください」という風に手を挙げた、そういう事例が先日おこった。

あなたの持っているパテントの一部をロイヤリティ・ファーマにください、その代わりお金をシュガーダディーみたいに渡す、そういう新しいビジネスモデルをロイヤリティ・ファーマは打ち立てた。そのディールが発表されたときにロイヤリティ・ファーマの株価が「ふーっ」と上がって、今ズルズルっと下がっているけれども、「ふーっ」したあがりはそれ。

なぜこれが重要かというとバイオテクノロジーは難しい。銀行の融資担当が新薬に脈があるかどうかは普通の銀行マンではとてもじゃないが判断できない。つまり与信(信用を与える担保)としては

しかし、ロイヤリティ・ファーマはM&Aバンカーたちで作られている、製薬会社のアナリストで構成されている会社だからそういった技術評価はお手の物。

社長、この会社のこういった技術ってすごいから取っておけば?取っておいてロイヤリティの一部でもうちにください。そういった約束してくれるなら金ならいくらでも出しますから、行こうよ、とけしかけることが出来る。

この柔軟性は他の金融機関にはない。

ロイヤリティファーマの創業者の方はラザードというブティック投資銀行のヘルスケアのトップバンカーだった人。この手のM&Aは大得意。そういう連中ばっかりが集まっている会社。

彼らが今回やったことは、新しいマーケット、極端に細分化された無数にある中小バイオテクノロジー企業、それの合従連合、これからM&Aが盛んになると思うが、そのカタリスト、触媒になる会社がロイヤリティーファーマだ、そういうこと。

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