広瀬隆雄氏「アフターコロナを見据えて!今後の米国市場の見通しを再確認」 2021年4月16日 楽天証券セミナーまとめ

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楽天証券の無料セミナーです。普段のじっちゃまライブをお聞きの方としては既に知っている内容も多いかと思いますが、改めて現状のまとめや、今の局面での注目銘柄などについても言及されていました。

詳しくは動画でご確認ください。

本記事は情報の整理を目的としており、投資・その他の行動を勧誘する目的で作成したものではございません。投資の判断はご自身の意思と決定でお願いします。

広瀬隆雄氏「アフターコロナを見据えて!今後の米国市場の見通しを再確認」まとめ

  • 目先は上、次の調整は秋を予想
  • グロース・リモートに注目
  • OKTA オクタ、ZM ズームビデオ、CRWD クラウドストライク、VEEV ヴィーバシステム、ZI ズームインフォ、SQ スクエア、TWLO トゥイリオ、DOCU ドキュサイン、TTD トレードデスク、FVRR ファイバーなどが良いと思う。
  • YETIイエティ、AZEK アゼクカンパニー、LSCCラティスセミコンダクター、CDNS ケイデンス、FORMフォームファクターなども今日紹介するが良い。

アメリカの経済について①ワクチン接種状況

現在のワクチンの接種状況
  • 米国1.98億回注射済み 37.9%が少なくとも注射を終え、現在1日334万回のペース
  • ユーロ圏、1.04億回、16.5%、241万回
  • 日本、179万回、0.9%、1日4万回

注射の遅れは経済成長の遅れを意味し、足並みの乱れを意味する。

アメリカではジョンソン&ジョンソンのワクチンの生産段階での手違いと副作用問題。アストラゼネカも生産、副作用の問題。今問題なく打てるのはファイザー&バイオンテックとモデルナ。増産もいい感じでできている。

7月までに6億回/2社で米国に納品できる。アメリカ3.3億人をほぼカバーできる見込み。7月くらいまでにアメリカで集団免疫が達成できるというのが机上の見込み。

仮に集団免疫とならなくても、大きな問題ではない。ワクチンの注射を毎年打てばいい(インフルエンザのように)

副作用についても既に1.98億回打たれているのであればSNSなどに不満が出ているはずだが、出ていない。問題ないということだと思う。

政府は有料でワクチンを買っている。アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソンは早期に無料配布を宣言したが、失敗している。ビジネスとして対価をもらいながら生産をする会社だけが成功している。

株式市場ではBNTX バイオンテックが新高値。無料配布のワクチンに市場シェアを取られるリスクが減ったからととらえる。世界のワクチン需要についてはファイザー、モデルナに依存するしかない状態。

アメリカ経済について② クルーズ、航空、ホテルなど旅行関連のリスク、グロースやディフェンシブ株へのローテーション

経済において、ワクチン接種の足並みの乱れはそれぞれの国の経済成長に影響する。

国際通貨基金IMFの予測する2021年のGDP成長はアメリカ+6.4% ユーロ圏+4.4% 日本+3.3%。ヨーロッパ、その他の国々のワクチン接種の遅れはそれぞれの国のGDPの成長の遅れになると思う。春の世銀IMF総会で、IMFは世界のGDP成長を上方修正したところだが、今後の下方修正につながる。「金利」という面では米国経済の過熱から手の付けられないインフレとなるリスクがだんだん後退しているという意味。海外旅行が再開する見通しが絶望的に。クルーズ船、航空会社、ホテルなどいわゆる「リア充銘柄」についての考え方を修正する必要がある。期待値を下げて下方修正する必要がある。

アメリカの失業率は今回急増し、急回復してきている。瞬間風速で14%を超えたが、鋭い切り返しで6%まで下がった。過去のリセッション(2008年、2000年、1990年)と今回(2020年)を比較すると、今回は急、一瞬の不景気からの回復だった。通常4年~10年で起こる景気回復が1年で起こってしまったということ。

3月のFOMCでのGDP予想では2021年6.5%、2022年3.3%、2023年2.2%と下がってくる。今年の景気は良いが、今がまさにピークでだんだん鈍化していく。景気拡大の前半局面では素材・工業・市況株が良いと言われるが、景気拡大の後半ではこれらの景気敏感株はアンダーパフォームするというセオリーがある。よってグロースや薬品(ディフェンシブなセクター)が良いと思っている。

年初から金利は上昇し、年初来の長期債は久しぶりのベアマーケットだった。しかし、長期金利の上昇は一巡している感じがある。現在の10年債利回りは1.59%。調整が一巡し、グロース株にとってホッと一息つける状況。グロースへのアゲインストの風はやんで、今後もマイルドな金利上昇にとどまると考える。

成長が鈍化するということは周りが成長しない中で成長する=グロースの銘柄が良いと思っている。

FORM フォームファクター 注目銘柄①

  • 半導体製造装置
  • フロントエンド=前工程、バックエンド=後工程の中間に位置する小さいセグメントに属する(あまりフォーカスされない忘れられがちな銘柄が多い。)
  • 半導体ウエハーの検査、測定、プローブカードの製造(ウエハーがきちんとつくられているかのチェック装置)
  • プローブカードは客に頼まれてから納期までのタームが短い。大口顧客の言いなりのような商売、収益のビジビリティが低い。好況のときには良く、不況のときに悪い。
  • 高価な半導体装置を納品するAMAT アプライド・マテリアルズ、ASML ASMLホールディング、LRCX ラムリサーチのような殿様商売は出来ない。
  • これらの理由でマージンが低く、注文も不安定で利い幅の確保が難しいため割安放置されているが、マーケットシェアを拡大している。
  • アドバンテスト、カスケード、FRT、HPDなどの製品群を買収。
  • 2012年20%→今30%を超え、36%を目標としている。
  • 地域別売上は中国27%、台湾25%、米国16%、韓国14%が多い
  • 顧客別にはファウンドリー&ロジックが大多数。62%、DRAM18%、システムズ17%
  • 売上は2020年6.94億ドルだが、8.5億ドルにしたいというガイダンス、その他EPSなどもアグレッシブなガイダンス。

今日紹介する半導体関連3つはニッチというと失礼だが、最初にイメージしない銘柄。半導体セクターは好況でTSM 台湾セミコンダクター、NVDA エヌビディアなど好調、いい投資対象だが、「出遅れた、今買えるとしたら?」と考える投資家も多いと思う。バリュエーションが高くなく、無理せず買える、株価的に出遅れた銘柄の紹介。

CDNS ケイデンスデザインシステムズ 注目銘柄②

  • 半導体回路設計ソフトウェア(EDAソフトウェア)。シノプシスと2強。少しケイデンスがマーケットシェアを拡大しているように思える。
  • AI、自動運転、ハイパースケールコンピューティング、5G、IoTなどが増え、コンピューティング=演算量も増えている。
  • ムーアの法則が限界、当てはまりにくくなっている。デザインの面でパフォーマンス効率化を図る。EDAとシステムデザインの統合=インテリジェント・システム・デザイン
  • システムデザインの売り上げの中の割合が増えている(マージンが良い)
  • 売上の構成比、デジタルIC回路設計が31%、カスタムICデザイン26%、機能ベリフィケーション19%、システムデザインは11%(2020年4Q)
  • 売り上げは2018年21億ドル→2019年23億ドル→2020年26.8億ドルと増えている

LSCC ラティスセミコンダクター 注目銘柄③

  • フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)デザイン会社
  • FPGAとは(何も記録されていないCDのようなものと思って。)ハードウェアではなくソフトウェアで半導体の役割を規定する
  • ソフトウェアでデザインすることで開発の時間短縮になる。回路のデザイン=ハードウェアだと時間がかかる。
  • アルテラ(インテルが買収)、ザイリンクス(AMD アドバンスド・マイクロ・デバイシズが買収を発表)ライバルが苦戦。独立系としてはラティスが残る。
  • FPGAはダイサイズ=面積が大きい。面積的な効率ではなく、とにかく早くする。
  • ラティスのダイサイズは小さく、消費電力が少ない。
  • 自動車向け半導体の在庫が少なくない
  • 売上、マージン、営業マージン上昇

AZEK アゼクカンパニー 注目銘柄④

  • アウトドアのデッキやポーチ向けに塩化ビニールの加工をした建材を作るメーカー
  • コロナ禍でアウトドアブーム
  • 自社工場でリサイクルされた原料を使用。グリーンな銘柄。
  • 2017~2020売上、修正EBITDA、修正EBITDAマージン右肩上がり
  • 競合(trecks)は人気だが、アゼクのマルチブランド戦略があり、総合的にはアウトドアとして2強と思う

YETI イエティ 注目銘柄⑤

  • アウトドア向けのクーラーボックスがルーツ。派生してドリンクウエアのブランド
  • 釣り、狩り、バーベキュー、スポーツ向けの丈夫さと質実剛健さ(おしゃれの対極)でブレイク
  • 米国東南部、中西部が中心。米国内。将来は世界に出る余地がある。(海外6%)
  • 人気すぎて生産が追い付かない、卸レベルでの在庫が少ない。
  • 2018年から売上、利益成長し負債も減っている

質疑応答

質問の内容、回答の順番をタイトル化するために変えています。文脈は変えないよう意識しています。

FPGA 販売後アップグレードは可能?

後でソフトウェアで書き換えるということは通常、しない。新製品発売までの期日がタイトなのでFPGAとしてとりあえず出すということをする。その製品(スマホやガジェット)が売れていけば、すぐにFPGAをやめて、ハードワイヤー(回路を書き直して、ダイサイ、コストの低い)部品に置き換える。FPGAは成功するとも失敗するともわからない新製品で活躍する。

FPGAの引き合いが多いというのは新製品の活力ゲージの項目と捉えることが出来る。

QRVO コルボ、SWKS スカイワークス

引き続き良い、新値取れていないのは単に相場のアヤだと思う。

AZEK アゼクカンパニー 雨ざらしにしてもOK?

OK。コーラの入った容器などをリサイクルしコーティングしている。

新製品が多いが、リサイクル工場がしっかりしているから新製品を作れる。

素人目には木材かPVCコーティングなのかわからない。でも大丈夫、という製品。

木材価格暴騰

その通りですね。2008年リーマンショック、その後住宅不況の後遺症、アメリカの宅建業者は需要に対して供給を絞り気味な状況が5年も10年も続いた。アメリカの住宅市場をみたとき、中古は供給があるが、新築は払底していて、瞬間売り切れる。木材価格が高い理由はそういう事だと思う。

もう一つは新型コロナ、不況に関係ないが、2年前に木材市況が暴落した。その年ものすごい回数でハリケーンがきて、アカマツなどが倒壊、材木にするしかなくなり供給がメチャクチャ増えた。その低いベースから見て今急騰しているように見えるという理由もある。

WY ウェアハウザー 森林のREIT

昔は木材とか神とか気をベースとした製品を作るメーカーだったが、今は森林の大家としてのREITとしての色彩が強い。

投資してみても面白いかもしれない。

木材のマーケットはアップダウンが激しいので、そういったサイクルをスムース化、きちんと配当を出していくのを考えている。アップサイドを取りに行くということについては適切なメイ枯れではないかも。

LPX ルイジアナパシフィック

森林関係でサイクルのアップサイドをまるまる取るとき、業績がボラタイルでもいいなら。

髪が伸びた→じっちゃまもワクチン注射2回目をうける

3/21に1回目のワクチン、今度4/21に2回目を打ちに行く。

1回目は60歳以上の年齢制限があったが、50歳以上に緩和され、いまは年齢制限一切なしのはず。大人ならアポイントメントを取ればちゅう

YETI イエティ 製品が高い

クーラーボックスのロールスロイス的存在。

PATH UiPath

足元の実績はすごくいい。売り出し目論見書見てびっくりした。今の好況がどのくらい長く続くかは自信がないが、注目に値する銘柄と思う。

ARKがPYPL ペイパル売ったのは理解できない

単純にポートフォリオ管理の判断で何か売らなければならなくなり、PYPL ペイパルを売ったのだと思う。ペイパルの代わりにコインベースを仕込んだということ。

ETFは最初に上場して受け皿を作る。ARKの場合、ARK宇宙ETFというのがあるが、将来はスターリンクなどを本命の投資対象にしていると思うが、いまはトリンブルなどでお茶を濁していると思う。

AFRM アファーム

良いと思う。株価低迷しているが。この前の決算はしっかりした内容だった。PTON ペロトンの依存度は減っていた。今ペロトンの株価出直ってきているのでなぜAFRM アファームが低迷するかわからない。

もう一つ投資家の懸念はアファームのBuy Now Pay Laterに競合が参加していることで、JPモルガンチェースも割賦払いを始めた。それらが低迷の理由だと思うが、アファームはブランドに対する消費者の信頼が高い、愛されている。分割払いならアファームが良いと信頼されていて、既存金融機関は信頼されていない、これには金融機関の殿様商売的な歴史イメージも関係しているかもしれないが、若者は新しい金融サービスを信用しやすい(クラウドファンディング、ソーシャルレンディングなどのように)。ただ新しいというだけで若者は流れがち。その責任は銀行にあるが、若いフィンテック企業は人気である時点見直されると思う。心配していません。

RIDE ローズタウンモーターズ

10ドル割れたが投資対象になるか?という質問。

今度バーハーカリフォルニアにエンデュアランスが出場する。勝つことではなく完走が目的で、故障などのうわさ、不安を拭い去るいい機会だと思う。

いまSPACに起こっていることは、SPACであればなんでも上がる、という局面があったが、今全部下がってオリジナルのプライス(10ドル)まで下がっているものが非常に多い。

良い企業も悪い企業も一緒にされ売られていると思う。今後ある時点で売られているSPACから良い銘柄が上昇してくるということが十分に考えられると思う。

SPACで逆境に逆らって上がっている銘柄はDKNG ドラフトキングスくらい。僕の考えでは良い銘柄はDKNG ドラフトキングス1社ではなく、いい銘柄はいくつもある。その辺はこれから復活してくると思う。時間かけて見守っていきたいと思う。

RPRX ロイヤリティファーマ

冴えないけれども今後浮上するかとの質問。

浮上すると思う。決算はピカピカ。

広く言えば薬品のグループに属するが、薬品株自体が相場になっていない。実は値を切り上げ始めている銘柄はある。向こう1年~2年の間のどこかで、大きな薬品株相場が来ると思う。景気自体は今はピークでこれから下がってくる。景気がスローダウンするとディフェンシブな銘柄が買われる。もう一回薬品株見直してみようか、と物色の矛先が回ってきやすい状況となると思う。もう少しの辛抱と思う。

T AT&T、VZ ベライゾン

配当に期待する銘柄。5Gへの投資などの新ビジネスを打ち出すと投資家から配当を出すようにと突き上げが来る。近年はコンテンツへの投資にやや傾斜しすぎた面がある。とくにAT&T。本来の保守的で安心できるファクターがやや削がれたと感じた。全体としてはどちらもしっかり経営されていると思う。

MRNA モデルナ

まだ騰がるか?

まだ大丈夫だと思う。ジョンソン&ジョンソン、アストラゼネカの問題は市場のパイでいうとモデルナ、ファイザー&バイオンテックのパイが増えたということ。

バイオンテックのワクチン承認、モデルナのワクチン承認直後にわからなかったことは、ワクチンが大量に承認され、1年でおしまいになるパターンがありえたこと。

今の状態だとアメリカで集団免疫が成立しても世界からの逆輸入もあり得てしまう状態。ワクチンのビジネスとしてはリピートビジネスになる。いまファイザー、バイオンテック、モデルナの株価が好調なのはリピートビジネスとしてのワクチンの可能性が開けてきているからだと思う。

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