九条の大罪 第7審 弱者の一分⑥ 感想

真鍋昌平 ビッグコミック 九条の大罪漫画
登場人物
  • 曽我部 聡太(そがべ そうた) 配達員 壬生の後輩の下の人間らしい
  • 九条 間人(くじょう たいざ) 弁護士
  • 烏丸 真司(からすま しんじ)九条の事務所のイソベン(=居候弁護士。弁護士事務所に雇われている弁護士のこと)
  • 壬生 憲剛(みぶ けんご)自動車整備会社社長・コワモテ
  • 金本 卓(かねもと すぐる)大柄な不良 力士を目指していたらしい 父がヤクザ
  • 薬師前 仁美(やくしまえ ひとみ) ソーシャルワークつぼみ代表の女性。烏丸の知り合い

九条の大罪 第7審 あらすじ ネタバレ注意

九条の事務所。

薬師前が九条に「ひどくないか」と詰め寄る。

曽我部が罪をかぶり金本は不起訴ということに納得がいかないと。

九条は曽我部を安い刑に持っていくことを考えてるという。

本来は実刑3年のところを1年半にする何の文句があるのです、と聞きかえす。

法ではなく倫理の問題だ、と薬師前

曽我部は薬師前が思うより道理を理解している、と冷静に話す九条

薬師前は弱い人に負担が行くことに激昂している。

烏丸が薬師前に曽我部の引受人になって欲しいと依頼する。

九条は間違えている、と薬師前はいう。

場面かわりご機嫌な金本のつぶやきが聞こえる。金本は完全黙秘(カンモク)したらしい。

壬生と金本と、金本の輩らしい男と一緒である。

電話口、起訴されないことが大事、と九条。

金槌で頭を強打され、流血した男が倒れている。

どうも壬生が制裁を加えたようにみえる。

場面変わり再び曽我部の面会に来る薬師前。

曽我部の父はウンコタトゥーを額にいれて生きている。曽我部は自分は弱者であり運命には逆らえないことを伝える。

薬師前は曽我部の父が額のタトゥーを消したことを伝える。痛みにこらえて克服した様子と一緒に。

曽我部だけが罪を被ることはない

とやさしく伝える。

ところが、曽我部は薬師前は何もわかっていないという。

今黙って刑務所に入らなければ、曽我部は金本に殺されるのだ。

九条の選択は曽我部を守る上でもこれしかないものであった。

九条が段取ってくれたことで、自分を守ってくれたのだ、と曽我部は薬師前に伝えるのであった。

九条の大罪 第7審 感想

おそらくこれで弱者の一分(曽我部メインのシリーズ)は終わり。

多くの人がどう思うかは分からないが、曽我部が罪をすべて被り、懲役1年半になるというハッピーエンドで話を終えた。

この話の着地がどこなのかは前回の時点ではわからなかったが、それ以前にそもそもなぜ金本が逮捕されたのか。というところを見落としていた。

金本は流血した男が証言してしまったせいで逮捕されたと想定される。

ハンマーで頭をぶっ叩いたであろう壬生は何らかの理由によってこの男を金本と一緒に暴行しているわけで、素直に読むのであれば彼が今回の逮捕においてこの不良グループ(?)の中でミスをしたのではないか、そして今回致命的なミスは何なのかというと、「うたってしまった」ことなのであろう。

このシーンは単に日常に戻った金本と怖い壬生を描いているわけではなく、場合によっては曽我部が向かうはずだった未来を描いているのではないかと思った。

壬生はやっぱり悪いやつであった。

シュッとした感じの顔立ちであるが、もうハンマーなんて道具を出している時点で、世間でいう「悪人」と言って良いのではないか。

「悪人だけど筋が通った」とか、「悪人だけど仲間にやさしい」とかそういうのですらなく、もう完全なる悪人、笑顔で故障した車を整備だなんてまったくもってしてなさそうである。

ちょっと気になって調べたが「暴力団等反社会的勢力排除宣言」というのをカーディーラーは掲げていて、要はその筋の人は車の整備とかが出来ないらしい。

銭湯で入れ墨を禁止とかは知っていたが、暴力団に入っていると他にもいろいろと普通の人のように暮らせないようだ。

話の本筋としては、何が人を守るのか?ということで

人を守るのは法ではなく、人である。ということであった。

銃社会について問題にされるときに、銃が人を殺すのか、人が銃を殺すのかという問題があり、銃というものは明らかに殺傷のみのために作られたものである、という問題を除けば、仮に銃を「包丁」に置き換えられたら「包丁」が人を殺す、という解釈は間違いであり、人が人を殺す、というのが一般的な考えではないだろうか。

では「殺す」場合でなく「守る」場合であっても同じで、人を守るのは「法律」「決まり事」ではなく、その「使い方」である。ということである。

前回の記事で法実証主義という言葉をほかの方のブログで見たため勉強してみたが、何となく法実証主義というものはいっさいの感情を放棄して、法に忠実に動くものと思っていたが、九条が今回曽我部を守り、優しさを見せた(ように見える)点と、法実証主義は両立しうるものである。

善悪は勝手に個人が決められない。少なくとも裁判官が善悪で判断しているわけでは無い。そういう中で法のルールに則って守るべくは守る、というスタンスなのかもしれない。

この辺の解釈は全然違うのかもしれないので今後の九条のアクションが楽しみである。

今回九条と対局として描かれたのが薬師前である。

一歩引いた眼で読んでいる読者の方からすると短絡的に思えたかもしれないが、迷わず身元を引き受けたり、言いなりとはいえ悪事に手を貸している曽我部に、偽りない愛を注いでいることは確かだと思う。

年齢は曽我部と大きく変わらないであろう薬師前の曽我部への態度は母性すら感じる。

なんか今回ちょっと、いやかなり巨乳化していたようにも思える

しかしながら薬師前は全く何も解決していない。

ぼくたちが物事の判断をする際に多くのシーンで使う「善悪」の自己判断というものは、法の世界ではあまりに無力なのである。

金本は悪い、金本と付き合うな、金本と縁を切れ、勇気を出せばできる・・・

というような言葉を吐く薬師前の社会観そのものが、子供のそれなのである。

これは薬師前が無意識に親のような愛情を注いでいることも含め、とても皮肉である。

不名誉なタトゥーを入れられ、仲間からはひどい扱いを受けている弱者ではあるが、彼を何も考えていない、勇気がない、意志が弱いと決めつけることはすべて薬師前の主観だ。

曽我部はそれでも善意をもって自分に対し向き合ってくれる味方に対し、勇気をもってショックの大きいであろう偽らざる真実を述べた。

恐らく前回の懲役から今に至るまでは言えなかったであろう一言を。

これが「弱者の一分」なのではないか。

九条の大罪 第8審以降は?

まだ終わったと確定したわけでは無いが、また新たなストーリーが展開されるのではと思っている。

とりあえず九条先生は一貫して悪いやつの弁護をしているので、壬生周りの人間がまた出てくるのか、全然違う濃いキャラが出てくるのか、楽しみである。

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