九条の大罪 第91審 至高の検事㉗ 感想

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九条の大罪　第91審　あらすじ　ネタバレ注意

ブラックサンダーが震えている。

九条がいつもの屋上に帰ってきた。耳を強く振り九条の顔を舐めるブラックサンダー。

烏丸も一緒で、九条がパイになったお祝いを流木、薬師前、烏丸でするらしい。九条はジャケパンと言う珍しい格好である。

ジャージに着替え、母の命日で墓参りをする九条。

病院で点滴をし呼吸を補助する器具をつけた白髪の母をシャンプーする九条。学生時代である。

母に蔵人と比較され叱られたことと、誰かの役に立って必要とされたいと泣く。

母はあなたは誰よりも優しいから大丈夫。というが、九条（間人）のことを蔵人だと思っている。

お祝いは屋上である。スーパーのビニール袋に入った食材を煮たり焼いたりしている。

九条は改めて中に入って、弁護士の心強さを実感した、と告げる。より精進して仕事に励むという九条。

九条の大罪　第91審　感想

前回で終わりと思っていたが、今度こそ、至高の検事シリーズがこれで終わりになるようだ。

既に前に書いたことだが、今の九条は万能感があると思っていたが、そうではないようである。

そもそも、もともと勉強ができるのにしていない、やらない、というキャラクターなのかと思っていたが、それも少し違うようで、シンプルに勉強自体が兄の蔵人のほうができるような感じもする。

学生時代の九条の苦しみについては単純に勉強の出来で比較されていることなのか、それとも勉強などと言った特定の価値観のもとに比較されることなのか、定かではないが何となく母の前での九条の本気の涙は鞍馬家にある一元的な価値観に対してでもあり、同時にシンプルに勉強と言う面においては兄に勝てない、と言う側面もあるように思えた。

もう一つ、今回はっきりと烏丸への感謝や弁護士の心強さを語ったということは、九条はやはり嵐山からネチネチと家族について掘られることが相当効いていた、と言うことになる。

私は九条について、状況がよくわかっており頭も良いので嵐山の嫌がらせなどは簡単にスルー出来るものと思っていた。

金本のような「そこそこ肝は据わっているが、いざとなったら無知による弱さが露呈する」ような人にも「シンプルに愚か」なひき逃げ犯の森田にも的確な指示を出せる九条は、自分や嵐山を客観視し、嵐山の嫌がらせは全くノーダメージでスルーすることができると思っていた。

しかし、実際は九条には嵐山の嫌がらせはしっかり効いていた。

九条自身がとても人間らしい弱さや感受性があるということ、同時に家族、と言うのが本当に九条にとって特別な弱み・トラウマであること、この2点が描かれているようである。

完全無欠な人間はいないが、九条自身がここまで人間らしく、不完全な部分が描かれたということはこれから九条自身の成長や気づきのようなものも描かれるのではないかと思っている。

九条の母についても初めて描かれた。母に対してはポジティブな感情を持っている一方恐らく死ぬ間際にまで蔵人に間違えられた、と言うことが心の傷になっているようである。

九条の大罪　第92審以降の展開は？

今度こそ、きっと新章に入るのだろう。

91審の内容としてあまりストーリー上の進展はなかった。至高の検事の結論として必要な話が91審だったとするならば、よりくっきりと今に至る九条の過去を書くことだったように思える。

壬生、九条の過去について揃って表現がなされ、新章がますます楽しみである。