2020年2月7日のじっちゃまライブです。
本記事は情報の整理を目的としており、特定の銘柄や取引を推奨する目的はございません。投資にはリスクを伴いますので、自己責任でお願いします。
かなり言葉を省略しています。細かいニュアンスは動画を確認ください。
- じっちゃま(広瀬隆雄さん)パート
- 2020年2月7日 新型コロナウイルス発生後のマーケットとドットコムブームの類似点。
- 2020年2月の金融政策は90年代後半とそっくり。パウエル議長は小刻みにFFレートの利下げを行っている。
- 1990年代の相場を振り返るとネット株に次いで、ゲノム・フュエルセルへの物色が広がった。
- ゲノム創薬について。細胞、核、DNA、染色体とは。
- 1999年のゲノムブーム。高かった解析コストは現代では低価格化し、夢が現実になろうとしている。
- 診断・治療のプロセスが変化している。関連銘柄:GH ガーダントヘルス、TXG テンエックスゲノミクス、ILMN イルミナ、CRSP クリスパーセラピューティクス、BEAM ビームセラピューティクス
- Q&A 2020年2月7日 広瀬隆雄さんライブより
じっちゃま(広瀬隆雄さん)パート
この記事を書いているのが2021年で、1年前の記事ですが、後半のゲノムに関するお話が特に勉強になったので文字おこし中心に記載しています。
2020年2月7日 新型コロナウイルス発生後のマーケットとドットコムブームの類似点。
新型コロナウイルスの発生後マーケットはその悪材料を消化し、また上昇に転じている。
昨日はアメリカの主な株式指数(S&P500、NASDAQ総合、ダウ工業株価平均指数)仲良く揃って新高値更新。
これこらどうするんだと言うストラテジーについて僕の考えを述べたい。
基本僕は新値は買うと言う主義の人間なんで今がマーケットにとってフレッシュスタートと言うことで、心入れかえて新しい取り組みをしていくべきじゃないかと思う。
いつも言っていることだが、今日の相場つきを見ていると、非常に20年前の相場を思い出す。
つまり1990年代後半のドットコムブームの頃のマーケットの構図に非常によく似ている。具体的には世界を見回してみると不安材料は色々有る。
新型コロナウイルス、中国経済のスローダウン。
でも、アメリカを見るとアメリカ経済はしっかりしている。だから世界のなかでアメリカが一人勝ちしていると言う構図。
2020年2月の金融政策は90年代後半とそっくり。パウエル議長は小刻みにFFレートの利下げを行っている。
政策金利の手綱捌き、それも90年代後半とそっくり。これは意図的にそういう風にパウエル議長がやっている。
つまり去年の7月から小刻みに0.25%ずつ3回りわたってFFレートの利下げがあった。
その後金利をずーっと横一定に保つと言うことがシグナルされている。
これは当時と全く一緒のやり方。アラン・グリーンスパンが当時のFRB議長だったが、同じ手法を踏襲していると言うこと。
金融政策が緩めなのでだんだんアメリカの株式市場はバブル相場へとは言っていったわけですけども、今回もそうなる兆候がそこここに見えていると思います。
1990年代の相場を振り返るとネット株に次いで、ゲノム・フュエルセルへの物色が広がった。
90年代のときは相場どうだったんだと言うことですけども、まずネット株が相場になりました。その後でゲノム、フュエルセル、そういったものにも物色が拡がっていったということ。
言い直せば先端技術の株が片っ端から買われる相場、それが当時だったんじゃないかと思う。
今日ちょっと新しいプラットフォームの企業の話をしたい。プラットフォーム企業というのはなにかと言うと例えばGAFA(AmazonとかGoogleとかAppleとか)いろいろなサービス、テクノロジーを展開して行く上で、その土台、インフラストラクチャーを提供する企業をプラットフォーム企業と言うが、じつはハイテクのプラットフォーム企業というとGAFAになり、これからも彼らが引っ張っていくと思うが、それ以外にもプラットフォームになり得る企業はある。
ゲノム創薬について。細胞、核、DNA、染色体とは。
今日はヘルスケアのプラットフォームになる企業を紹介したい。
なんの話?ということだが突き詰めていえばゲノム創薬の話。
ゲノムというのは遺伝子ですけれども、人間の体はまず1個の受精卵から出発して受精卵それ自体は細胞だが、それが2個、4個、8個、16個、32個…というふうにどんどん分裂し、増えていく。
その過程で特定の機能を持った細胞にだんだん分化していって(心臓の細胞、皮膚細胞、神経細胞…)とだんだん身体の形が整っていく。大人の身体には60兆個くらいの細胞があると言われている。その60兆個の細胞一つ一つには必ず核がある(ただし、赤血球と血小板は核がないが)。
核のなかにはDNAと呼ばれるものがある。DNAは、細い紐状の分子。で、細胞が必要とするタンパク質を必要なときに合成する指示出しをする、それがDNA。
細胞はその指示に従い分裂するが、23対の棒状の構造体になる。これが染色体と呼ばれるもの。この23ペアの基本単位のなかにはいっているDNAをひとまとめにしてヒトゲノムと呼んでいる。
早い話人間が赤ちゃんから成人し、老人になり一生を終える、その全てのプロセス、ロードマップがぜんぶこの中に入ってると言うこと。
各染色体には長いDNAが一分子ずつ入っているが、それをぜーんぶ一列に並べると長さで1mくらいになる。
ゲノムDNAには文字がある。アデニン(A)チミン(T)グアニン(G)シトシン(C)。「ATGC」という4種類の分子を「ヌクレオチド」というが、それから構成されている。
23本の染色体のDNAを全部合計すると30億文字ある。この30億文字は人間の一生を支配する、ある種のオペレーティングシステムというかコードだと思ってください。マイクロソフトとかフェイスブックとかアマゾンにエンジニアがいて、彼らがコーディングしているが、それと同じようにDNAもある種のコードと思えばいいと思う。
1999年のゲノムブーム。高かった解析コストは現代では低価格化し、夢が現実になろうとしている。
1999年にゲノムブームがあった。
それはセレラと言う会社のクレイグ・ベンターと言う人が人間のゲノムを解読したと言う風に発表したから。
その時に1人の人間のゲノムを全部解析する、解読するのに必要だったコストは約30億ドル。バカ高い費用が掛かった。そのとき、すごいな、これでゲノム創薬が可能になるんだな、と我々はエキサイトしたが、はっきり言ってコストがバカ高かったので、パーソナライズドメディスン、すなわち一人ひとりの個性、ゲノムに合わせたテーラーメイドのお薬の創薬は「夢のまた夢」だった。
その後シークエンシングのコストが下がった。現在は自分のゲノムを全部解読するのにかかる費用は10万円、多分10万円をちょっと切っているかもしれない。
あと数年以内にそれが1万円になると言われている。だからパーソナライズドメディスンが算盤的にな可能になってくるということ。
診断・治療のプロセスが変化している。関連銘柄:GH ガーダントヘルス、TXG テンエックスゲノミクス、ILMN イルミナ、CRSP クリスパーセラピューティクス、BEAM ビームセラピューティクス
少なくとも腫瘍(ガンとか)の疾病分野ではDNAシークエンシングによる治療とか創薬が標準化されるだろうと言われている。その銘柄が後で説明するがGH ガーダントヘルス。
個人の遺伝子には、ATGCのヌクレオチドの話をしたが文字配列がずれたためにうまく機能を果たせなくなったニセ遺伝子や、過去にウイルスに感染して機能しなくなった残骸とか、そういうバグがいっぱいある。遺伝疾患(遺伝子にかかわる病気)はそういった残骸やバグをどうやって治していくかという学問だと思うがそれのためのいろんなツールの会社も出てきている。たとえばTXG テンエックスゲノミクスがそういうツールを開発している。
そのような最先端のDNAシークエンシング装置は今だいたい業界全体で年間の機器の売り上げは35億ドルくらい、向こう4年間くらいで200億ドル、年率40%で成長すると言われている。その草分け的企業はILMN イルミナという銘柄。2007年にそれ草という会社を買収し、この分野でリーダーシップを取った。
いま最先端の医療、病院で起こっていることは何かというと、病院(臨床)で分子分析が一般化しようとしている。つまり、あてずっぽうでお医者さんが「これガンじゃないの?」という診断をするのではなく、血液サンプルで精検をしてやる(liquid biopsy)。実際の血液サンプルを最先端のDNAシークエンサーにかけて解析する。固形腫瘍が見られた場合、それを固形腫瘍プロファイリングという手法で分類して解析してやることもやっている。つまり、がんの臨床の判断が今までの試行錯誤的、あるいはあてずっぽうの予測からデータに基づく、エビデンスに基づくものへと変化している。その時に使われる次世代シークエンサーの機能は、ディープシークエンシングといわれているが、同一の領域を複数回にわたり、何回も何回もシークエンシングしながら、病の進行状況を「これは危ない、これは健全」というのをモニターしていく、そういう診断・治療のプロセス自体が仕事の進め方が変わってきているということ。
さっき本命銘柄として、GH ガーダントヘルスがあると言った。それから次世代シーケンサーの銘柄でTXG テンエックスゲノミクスがあるという話をした。それに加えて、実際に遺伝子にバグがあるとわかったときにそれをどう言う風に治していくの、ということで、遺伝子の修正するときのハサミ(切り貼り)の技術を持っている会社にCRSP クリスパーセラピューティクスという会社がある。
そして、ヌクレオチドの文字はだいたい、普通1文字だけ間違っている、バグがあるというピンポイントの問題であることが多いが、その1文字訂正をする技術を持っている会社でBEAM ビームセラピューティックスという会社が昨日IPOされている。
TXG テンエックスゲノミクスに関して言えば、いままでのGENEシークエンシングとどう違うかというのを説明すると、1999年にクレイグ・ベンターがセレラでヒトゲノムの解析を全部やったときは、解像度、どのくらい細かいところまで見えるか、それがはっきり言ってぼんやりしていた。言ってみればヒトゲノムの部品リスト、項目だけ、見出しだけをカタログ化したに過ぎない、だから一つ一つの部品が具体的にどういう風に働いていくのかという問題までは踏み込めなかった。しかし、TXG テンエックスゲノミクスのシークエンサーを使うと、今までよりもっと高い解像度でゲノムを分析することが出来るようになった。だからゲノムの構造の変異、例えば、欠失、挿入、転座、融合そういう事を細かくフォローすることが出来るようになった、ということ。
Q&A 2020年2月7日 広瀬隆雄さんライブより
1問1答形式です。
現在つみたてNISAで日本株、米国株、全世界株式に分散。日本株5割。売却してその他に回したほうが良い?
世界の株式市場について、MSCI(モルガンスタンレーキャピタルインターナショナル)という会社が実際に投資家が自由に売ったり買ったりできる浮動玉ベース(株式の持ち合い、政府の保有を除く、フリーフロートの世界の時価総額を計算して)それに基づいたベンチマーク、実際に投資できるベンチマークを出している。
それによるとアメリカ株が全体の半分(50%)を占めている。その次が日本株で7%。だから、皆様のポートフォリオで日本株の比率が50%だと、ちょっと僕は日本株の比率が高すぎると思う。僕だったら日本株は全体の1割くらいに抑えます。アメリカ株を中心に世界の株式を組み込むようにします。
ZM ズームビデオ
2019年12月に買って30%以上利益出たが、という質問。
まだ割安に放置されていると思う。だから、ズームは抱いていてください。
個人にカスタマイズされた治療法で将来的に人類の寿命はどんどん延びていく?
基本的にはそうだと思う。それはそれでまた問題なんだけど。
90年代後半はインターネットの追い風が吹いていたと教わりましたけれども、去年の3度の利下げを踏まえて2020年代前半のクラウド移行のトレンドは大きな追い風になり得る?
基本的には同じようなシナリオを見ている。いまS&P500のPERは18.7倍くらいだと思うが、多分それが20倍を超えてくる局面は当然あると思う。なので基本的にアメリカ株を中心にポートフォリオを組みたいと思っている。
個別株がいい?ETFがいい?
ゲノム関係だけのETFもあると思う。あとでツイートしておく。
リーダー企業になると今日紹介したGH ガーダントヘルスあたりがド真ん中じゃないかと考えている。
遺伝子編集であればCRSP クリスパーセラピューティクス、シークエンサーであれば、TXG テンエックスゲノミクスあたりかなと思っている。
ゴールドはこれからどう?
ボチボチだと思う。ただゴールドがアウトパフォームする環境は近年は金融緩和をした時に高くなる傾向がある。いまはパウエル議長は政策金利は当座動かさないと言っているのでひょっとするとあんまり動かないかもしれないと考えている。
他にもう少しいい投資先があるんじゃないかという風に思う。
キリスト教右派はゲノム解析や、ゲノムで選んだ子供を産むのに反対したりしない?
それはある程度あると思う。でもきょう説明したような、Liquid Biopsyとか、先端技術によって疾病を治療する、その効果の方が圧倒的に絶大なんで、迷信を信じる人は別として、すこしでも科学を理解するリテラシーのある人にとっては、これはベネフィットの方がはるかに多いということは明白。
議論の余地にすらならないと思う。
アメリカ株の売り時はいつと予想する?
分かりません。いつかは売り時が来ると思う。だけれどもいまではないと思う。だから売り時はいつか、というのを今から心配しても意味ないと思う。
いまみんなが心配すべきものは何を買うかという問題。
まだ相場の先は長いと思う。心配しないで。
ゲノム治療の会社はどのくらいでペイする?
質問の内容が理解できないが、こうゆうことじゃないかな。
たとえばシークエンサーのツールの会社でいうとさっきも説明したけれども年商で35億ドル。それが向こう4年間で200億ドルになる、年率40%成長。それに対してどのくらいのバリュエーションを与えるべきかという話。でも今与えられているバリュエーションは、メチャクチャ過小評価されていると僕は思うんだけどね。
GH ガーダントヘルスとかに対して与えられている評価は。
他のセクター(AI,クラウドコンピューティング、SaaS)とかのセクターで与えられているバリュエーションとヘルスケアのセクターのバリュエーションをくらべると、ヘルスケアはまだまだ伸びしろがある。
それで今週の頭にアイオワ州で民主党の党員集会、コーカスがあったが、番狂わせでピート・ブティジェッジっていう若い38歳の大統領候補の人がリードしました。ほかの候補者(ジョーバイデン、エリザベスウォーレンとか、バーニーサンダース)を抑えて彼が勝った。
それが株式市場にとって持つ重要性は何かというと、ヘルスケアの問題に関してバーニーサンダースとか、エリザベスウォーレンとかはものすごく極端な極論を言っている。国民皆医療保険。それは国民全体の医療保険加入というのは良いことなんだけれども、予算限られているので、誰かから取って、誰かにチャンスを与えなければいけない、貧しい人に医療のカバレッジがあるように、とお金持ちの人、あるいは最先端の値段の張る治療方法(たとえば、今日紹介しているLiquid Biopsy)とかは贅沢だ、という議論が横行していた。いままでは。
この辺の銘柄、ヘルスケアの銘柄はよーく考えて動かないと、大統領選挙との絡みで横っ面ひっぱたかれるかもしれないと先週までは皆考えていた。
だけれどもピート・ブティジェッジが出てきたんで、もし彼が勝つならヘルスケアは安泰だと見直しが入って、今週ヘルスケア株もバーッと来ている。
何が言いたいかというとヘルスケアは出遅れているということが言いたい。
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