じっちゃまライブ2021年ロケット打ち上げサービス市場についてです。今回はロケットサービス全般の説明となかでもアストラというSPAC上場企業のビジネスにおける特徴、優位性などを丁寧に説明されています。
説明を抜粋していますので詳細は動画をご覧ください。
ロケット打ち上げサービスについて SPAC上場のアストラ ティッカーシンボル:HOL
アストラという会社がSPACとの合併による上場を行う。
ティッカーシンボル:HOL(SPACでの上場のため、その後ティッカーシンボルは変更予定。)
アストラの経営メンバー
創業者はクリス・ケンプ 元NASAのチーフテクノロジーオフィサー。
共同創業者はアダム・ロンドン DAPRA(アメリカの国防省の先端R&Dをする局)でミニチュアサイズのロケットの開発をしてきた。
この2人が重要メンバー。
アストラのロケット事業 スペースXとは重ならないビジネスモデル【重要!】
アストラが目指すの方向性はスペースXが目指す方向性とは異なる。
スペースX:有人飛行・人間を宇宙に運ぶスケールのロケットを作る
アストラ:「小型人工衛星を毎日打ち上げる」というビジネスモデル。
で表現されているが、従来の宇宙ステーションはスクールバスサイズだったが、最近は豆粒くらいのサイズ。
大きな人工衛星は「ジオシンクロナスオービット」と呼ばれる地球から22,000マイルくらい離れたところを回る。
小さな人工衛星は「LEO ローアースオービット」と呼ばれる地球のすぐ近く、数百マイルの低空を回る。
一番上がアストラのロケット。で年間300回以上打ち上げる。
競合のロケットラボは年間50回、小さな人工衛星を目指す。
レラティビティという会社は25回、スペースXは30回程度。
値段として下に行くほど高い。
パワフルではなく小さな人工衛星を近場に打ち上げるため、安いロケットで大量に毎日打ち上げを行う。=スペースXとは競合していない。
なぜ小さな人工衛星なのか。
人工衛星は1回打ち上げると10~20年使うような、20年使ってようやく元が取れるようなものだったが、最近は半導体技術などの発展があり、15年前に開発された半導体を積んだロケットは陳腐化してしまい、パワフルなものではない、という状態になっている。
スクールバスくらいの人工衛星が出来る仕事をオーブントースターくらいの大きさでできてしまう時代。
1年に数回人工衛星を打ち上げ、何十年も使って以降という考え方から、もっと安くたくさん打ち上げたほうが良いのではという価値観に変わってきている。
もう一つ価値観が変わってきている理由に、人工衛星を使ってできること、サービスのデザインの変化がある。
具体的には低い軌道を回るたくさんの人工衛星による「星雲」のようなものを構成し、グローバルなインターネット提供を可能にするサービスのような新しいサービス。
インターネットにおいてはレイテンシー(遅延)が問題になるが、地球に近くを衛星が飛ぶほどレイテンシーが少なくなる(インターネットが早くなる)ということが可能になる。
人工衛星で宇宙から地球の写真を撮って成り立つジオサービス、ジオロケーションサービスにおいて、高性能なカメラで高いところから撮影するより、そこそこのカメラであっても低い位置から撮影したほうが鮮明というメリットがある。
防衛・軍事用途で敵の動向を把握するときなども低軌道の人工衛星が活きてくる。
ロケットの市場規模 2,160億ドル。競合企業は多数。
トータルの「スペースエコノミー」宇宙開発関連の市場規模は2040年までで1兆ドル、ロケット打ち上げサービスは2030年までで2160億ドルくらいの市場。
ロケット打ち上げサービスの企業は乱立していて100社くらいあるのではと言われている。
相当激しい競争になり、ほとんどの企業が潰れるのではと言われている。
なるべく早く開発競争にリードし、たくさんの契約を獲得した企業が生き残る可能性が高いと思う。
ロケット打ち上げの作業をマニュアル化、標準化する「スタンダライゼーション」による効率追求が重要になってくると思う。
かつて自動車産業の黎明期、フォードがモデルTという車を発表し、大量に生産し価格を下げた。
それと同じような大量生産によるファシリティをアストラは作ろうとしている。
アストラのロケーション上の優位性 出荷時に有利なロケーションを持つ
アストラ本社はアラメダという地域に本社があり、大きな島になっている。
オークランド港のすぐ横。アストラ本社のすぐ西側は海軍航空隊のアラメダ基地だった。
このあたりは古い工場や軍の施設が放置されていた。今は再開発され、工場の跡地が再利用されている。
これがロケット噴射をするテスト施設。
工場は港に隣接していて、すぐ近くに飛行場もある。
ロケットは台車に乗っていて一人か二人で動かせる軽いもの。
隣接した飛行場から飛行機のロケットを乗せて運ぶこともできる。つまりもと海軍航空隊のアラメダ基地のすぐ隣というのはロケーション上の出荷メリットがある。
ビジネスに必要な資金4.5億ドルはすでに調達済み。
アストラのビジネスモデルはしっかり練れていてオペレーションコストも低く、ビジネスを軌道に乗せるために必要な資本は水色のCapex(キャペックス)とOpex(オペックス)になるが、トータルで必要な資金は4.5億ドル。
今回SPACとの合併と同時にパイプスという私募で4.89億ドルの調達を行う。
2025年ごろまででビジネスを軌道に乗せ、売り上げ15~16億ドルになるまでの資金は今回で調達済みということになる。
今後のスケジュール 2021年~商業うち上げ開始。2025年までには毎日1回以上のロケット打ち上げ
スケジュール的には2021年からコマーシャルローンチ(=商業打ち上げ)が開催され売上は2022年~発生。その間に工場を拡大し、ロケットの標準化を行い2025年までには毎日1回以上ロケットを打ち上げ、その際の必要要因はわずか6人というビジネスモデルになっている。
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