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九条の大罪 第31審 あらすじ ネタバレ注意
亀岡麗子が腰に手を当てメガホンで主張している。
理不尽な性暴力にさらされても声をあげられない女性がいる。強姦は魂の殺人で、性暴力を助長させるAV業界把握の権化であると。
依頼人は涙ながらに現状を話してくれた。とし、AV出演を強要された被害者の人権を守り、搾取をなくすべき、ストップ性暴力!ノーAV業界!と繰り返している。
笠置雫はスーパーマーケットで棚卸が出来ておらず裏で怒られている。
修斗に慰められたいとラインをする。お店に誘われるがお金が無いことを伝えるが、掛けでもいい殻おいで、雫に会いたいな、と誘われる。
笑顔を浮かべる雫。
バーで泥酔する雫。その後店外、といってもやはり地べたに座り修斗を待つ雫。
お待たせ。と肩を叩く修斗に怯える雫。
見えないところから触られることがトラウマのようだ。
静かなところに行こうと誘われて、ラブホテルに行く。
特に二人の間に行為は無いように見える。
異常な怖がり方について雫が性的虐待に遭っていた過去を伝える。
13歳の時にダンスの先生に暴行を受けた話である。そのときのショックは大きく、いったんは頭の中で無かったことになるそうで、自分の体験で無く頭の片隅にある感じと語る。
しかし、15歳の時にバスでおじさんに太ももを触られ、頭がバグったらしい。
そこからは夜に目覚める生活になり、学校の先生に相談をしたようだ。
田舎に住む雫は世間体を気にして恥ずかしい、という母親に家に監禁され、あなたが原因じゃないか、と責められたようだ。
親にとっては傷ついている自分より世間体が大事で、家庭内のグチャグチャや離婚も自分のせいと責められた。と。
事件は証拠があり新聞に載ったが、父親は会社に事件が発覚したくないため示談で100万円で済ませてしまった。
自分はこんなにメチャクチャなのに、加害者のダンスの先生は今ものうのうと先生をしている、殺せるなら殺したい、という雫。
ドン引きですよね?と修斗に尋ねるが、最高だよ、と真顔で答える修斗。
紹介したい仕事があるという。
雫は風俗ですよね?と聞き返す。掛けがすぐパンクするレベルでお金を使っているし、周りの子もホストのためにデリヘルしているのでわかっている。というが修斗はしずくに自己評価を間違えるな、と諭す。
場面変わって白いTシャツを着た雫は机越しにAV女優の面接を受けに来ている。
よろしくお願いします。と冷静な口調で。
つづく
九条の大罪 第31審 感想
修斗は雫をAV女優にしてお金を得るようだ。特にここに関しても違和感はない。 冒頭亀岡麗子が登場したが今回は笠置雫についての話がほとんどだ。
笠置雫の過去。田舎での性暴力と家庭環境。
今回は過去の笠置雫について書かれている。特に台詞等はないが、いまのちょっと様子のおかしい雫になった背景には13歳、15歳のころの体験がある。
15歳で太ももを触られたことも間接的な引き金となっているが、何より心を深く傷つけたのは13歳のダンスの先生による性暴力だ。
雫は度重なる性暴力と、傷つく自分よりも世間体を気にする両親や田舎社会というものにより、2度絶望をして、今に至ったようだ。
関係があるかは分からないが、おそらくはこの舞台は新宿、あるいはそんなような街で、雫はいつも床に座っている。
今回は泥酔が理由であるかもしれないが、基本的に泥酔していようがしていなかろうが、常に床に座っているように見える。
これについて、まず明らかに汚い地面に座るということが逆に都会的であり、それは田舎の否定なのではないか、という考えがある。
そして、もう一つは明らかに汚い地面と雫には区別が無いと雫自身が感じている、というようなことを思う。
過去の雫がしゃべったりする描写はないが、事件の受け止め方や説明は至ってまともであり、雫は変な人なのではなく暴行によって壊れてしまった、と思われる。
壊れた時計がちょっと刺激をすると動き出すように、AVの面接に来た雫はきちんとしたやり取りをしているように見える。
それは服装が変な恰好からTシャツになったからだけではないように見える。
もうひとつ、まともな雫と言えば 28審で九条 に過去を語るシーンだ。
ここでの雫の口調も極めてまともである。
さて、こういったまともな雫というのはいったい何なのか。
「自分の価値」を確かめた時、雫は冷静に、まともに、壊れる前の自分に戻れるのではないかと思う。
それは人を刺し殺し、トラウマから解放され、元の自分に戻れた時、あるいは修斗に受け容れられ、自分の考えや価値を確かめた時に、冷静な元の雫に戻れるのではないかと思う。
少しのニュアンスの差かもしれないが、これは修斗が甘い言葉をかけたから、ということではなく、修斗が雫の心の奥深いところに触れたうえで、雫の価値について再定義し、雫がそれを受け容れた、というところが重要そうである。
第32審以降の展開は?
28審で刺されていた男は修斗なのかと思っていたが、もう一人ダンスの先生という刺されそうな男が登場してきた。
ただ、この刺された男は修斗と考えるのがやはり自然だ。
殺した相手は自分の生き方を変えてくれた、自分に価値があると教えてくれた、でもわかったのはそれは商品としての価値ということ。 と28審で言っている。
たしかにダンスの先生によって雫の生き方は変わったが、「変えてくれた、価値があると教えてくれた、でも商品としての価値」というフレーズからすると今の流れで該当する男はやはり修斗以外考えられない。
今回で修斗は雫の考え方を聞いて最高だ、と言っている。それにより雫は自分のような考え方、生き方にも価値があると信じ救われたのだが、修斗はやはり女優という商品としての価値しか見ていない、そのことが露呈する出来事なりがあるのだろうと思う。
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