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九条の大罪 第82審 あらすじ ネタバレ注意
アクリル板越しに九条と向き合う烏丸。
壬生からの伝言を撮影した流木だったが、それを九条に見せることを烏丸は拒否したという。
弁護士倫理に反するためである。
しかし、見て記憶した内容をそのまま伝える烏丸。
六道の
道のちまたに
待てよ君
遅れ先立つ
習ひありとも
と言う武蔵坊弁慶の辞世の句で、死ぬ順番が変わっていても冥土の道の途中で待っていてください。と言う意味のようだ。
さらに「飼犬はもう二度と戻ってこない」と。
写真を見せた理由を、罪証隠滅にも逃亡にもつながらないという理由で伝えた、と言う。
一方で手紙のやり取りをするには裁判所の許可がいるが、それには時間がかかるという九条は、この烏丸の対応を教科書的にはその通りと言う。
さらに信書の授受を裁判所が許可するはずがないので、現実的には時間がかかるどころか手紙が渡らない、こういった悪法はおかしいので制度と戦う、と言う烏丸。
九条はそれに対し、悪法も法なら弁護士の特権的立場を悪用してもかいくぐるという。
流木が壬生を弁護していて、流木の事務所のイソベンである烏丸は九条の弁護が利益相反に当たる可能性があるという。
今後の弁護人に流木は亀岡を推しているようだが、九条は微妙なリアクションで、烏丸に依頼人の引継ぎを務めてほしいという。
それと、ブラックサンダーの世話も頼みたいという。
九条の住むマンションの屋上。
九条の残したキャンプグッズを眺める烏丸。その様子をブラックサンダーが見上げる。
もう大丈夫だよ。とブラックサンダーを優しく抱きしめる烏丸。
一方、九条に対しては嵐山との取り調べが始まる。
九条の大罪 第82審 感想
流木、烏丸、九条の考え方の違いがはっきり描かれた回である。
会社員に例えると分かりやすいが、会社でくだらない規則があるとする。
それはおかしいので破っちゃうのが流木である。
それはおかしいので変えてしまおう、というのが烏丸。
おかしいが、ルールは守ったうえで限りなくグレーなことをしてでも成果を出そうというのが九条。
こう考えると年長者である流木が実は一番いい加減なことを言っているようにも見えるが、たぶん細かいルール違反については暗黙の了解として通るため、最もサクサクと結果が出る方法を言っているともとれる。
烏丸のやり方は正しい、彼はいつも正しいが時間がかかったりするため本当に実現できるのか、と言うのが問題。
九条のやり方は一応ルール内というクリーンさがあるものの、グレーのレベルが極めて黒かったりするために周りからは煙たがられる。ついでに明らかに非効率であったり、非道徳であったりするルールはそのまま変わらず、結局九条のような考え、人間でないと仕事をうまく回せない、というものになる。
個人的にはこのやり取りは仕事に対する向き合い方として共感できる部分がメチャクチャあって、若い人間ほど烏丸的発想になりがちだと考える。
つまり会社や組織、国が悪い、ルールが悪いという発想を起点にそれを嘆いたり、変えてやろうと思ったりするわけである。
しかし、実際と言うものは偉くなってみたとてそんなに大してルールそのものを変えられるわけではなく、そこで「ルールを守りながらブツブツ文句を言っているもの」「ルールを破るもの」「ルール内でグレーなことをするもの」などに分かれていく。
もちろん流木も一定の良心や判断基準を以てルールを破る、破らないを決めており、「破るもの」と言う表現は常にルールを破ることを意味しないが、個人的にもどこかでこのルールを破る、グレー運用をするなどをうまく使っていかないと、成果を出すことが難しい場面も多いと思っている。
例えばサッカー選手がユニフォームを引っ張ったりしているが、そのたびに反則にはなっていない。
ルールブックを見ても点差が○○点だとユニフォームを引っ張ってよい、とか、流れを乱さない程度であればユニフォームを引っ張ってよい、とかそういうことは一切書いていないはずで、相手を掴んだり押したりする行為は一切不可のはずである。
しかし、少年も楽しく観戦をするサッカーではトップ選手含めてほぼ全員そういうルールを破っている。
このような状況に近いことは法律や規制であっても、会社の社内規則であっても、スポーツのルールやマナーであれ行われていると考えてよいだろう。そして、ルールを変えることは難しい場合が多い。
頭の良い烏丸は、こういったことを重々わかったうえでそれでも敢えて方がおかしいので変えるために戦おうとしているように思える。
ちなみに先日こういったツイートを発見した。
面白いが、設定(警察)側はこういった態度(ルールとしては設定しているが、そういった案件は見ていない)を取らざるを得ないということである。
パチンコで換金 警察庁「存ぜぬ」は草 pic.twitter.com/wiLtgFwStK
— 草ッターwwwww (@kusatta_www) July 21, 2023
前回の感想で、九条逮捕により京極が一番ピンチだとさらっと書いたが、九条逮捕についても九条と壬生で書いた絵なのかもしれない。と言うか多分そうなんだろう。
手紙のやり取りは何らかの暗号になっていると思うが、飼犬はもう戻らない、というのは九条目線では犬飼に逃亡指示をした、ということしか明らかになっていない。この犬飼が帰らぬ人になった(死んだor逃亡成功)である、という壬生からのメッセージであると想像する。
弁慶の辞世の句についてはよくわからない。
こうやってルールの範囲内でぎりぎりの行為を行って、九条と壬生はまたいつもの生活に戻ってくるつもりなのだろうか。
九条の大罪 第83審以降の展開は?
個人的には充実した内容だが終わり方にワクワク感が少ない82審だった。というのも九条と嵐山ではちょっと知識などの格が違うと思っている。
つまり、本来なら来週以降掲載される、嵐山の執念深い取り調べに対し、九条や読者である私も緊張感をもって迎えるべきところなのだろうが、九条が追い込まれる姿が全く想像がつかない。
しかし、このまま京極が長期刑を受け、壬生、九条が刑を逃れ早期に仕事に戻る、と言う話であろうはずがない。何度も何度も何度も書いているが至高の検事のタイトルである九条の兄、鞍馬蔵人の再登場がポイントになるに違いないと思っているが、なかなか出てこない。
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