九条の大罪 第14審 家族の距離⑥ 感想

真鍋昌平 ビッグコミック 九条の大罪 漫画
これまでの登場人物
  • 九条 間人(くじょう たいざ) 弁護士
  • 鞍馬蔵人(くらま くろうど)検事。九条の実兄
  • 烏丸 真司(からすま しんじ)九条の事務所のイソベン(=居候弁護士。弁護士事務所に雇われている弁護士のこと)
  • 壬生 憲剛(みぶ けんご)自動車整備会社社長・コワモテ
  • 流木 信輝(ながらき のぶてる)白髪の高齢の弁護士 九条の父と面識あり
  • 山城 祐蔵(やましろ ゆうぞう) 弁護士 九条の父と面識あり
  • 菅原 遼馬(すがわら りょうま) 介護施設輝幸代表 輩
  • 家守華恵(いえもり はなえ) コンサルティング会社経営
  • 金本 卓(かねもと すぐる)大柄な不良 力士を目指していたらしい 父がヤクザ
  • ミヨコ 金本の同居人
  • 曽我部 聡太(そがべ そうた) 配達員 壬生の後輩の下の人間らしい
  • 薬師前 仁美(やくしまえ ひとみ) ソーシャルワークつぼみ代表の女性。烏丸の知り合い
  • 宇田川 良子

九条の大罪 第14審 あらすじ ネタバレ注意

ピアノの上に花。ホテルの一部屋のようだ

山城とのやり取りのなかで、九条は一日一食にしているらしい。オートファジー効果で免疫を高めていると。

話を本題にもどし「有印私文書偽造」で山城の刑事告訴を考えていると告げる九条。

争っても構わないが不服なら遺留分相当額を払って手打ちにしないか、と告げる山城。

依頼人は全額返済請求をしているのでそれ以外は考えないと言う九条。

山城と刺し違える気かと問われ

「はい」と答える

一気に表情を変え怒る山城

「依頼者にたいして誠実かが大事」と語る九条。

買い物中の家守華恵の心のなかが描かれる。

レジでもたつく老人への苛立ち。心のなかだが「ババア」と汚い言葉で罵っている。

市役所に照会をかけ、介護の認定調査票と主治医の意見を把握したら遺言無効確認訴訟を起こそう、と状況を電話で説明する九条にとにかく全額取り戻せば良いと怒鳴る家守。

「お父さん」と昔を回顧する家守。

スーパーでタイガーバームを食べてしまい不味いと騒ぐ父。既に認知症のようだ。

「お父さん」ともう一度思った後「ふん」と開き直ったような強気の表情に変わる家守。

九条の大罪 第14審 感想

山城が(少なくとも作中では)かつてない怒りを見せた。

これは息子のようにかわいがっていた九条が対決姿勢で臨んできた為なのか、単純に才能を認めて敵に回したくない九条が引き下がる様子が無いことを見て取り乱したのか。

どちらもありそうに思える。

キャバクラだかクラブのようなところで九条は菅原に遭遇している。

その後山城は昭和の上司部下のような感じで九条を連れまわし、泥酔して眠ったりしている。山城は本当に九条のことを息子のように思っていたのではないかと思える。

今回の家守の話だけで済めばいいのだが、ほかにも山城はあくどいことに手を染めていそうであり、菅原との関係についてもこのような事態になるのであれば九条に敢えて見せる必要もない部分だったと思う。

優秀な九条であればすぐに輝幸の中でのトラブルと、山城にたどり着いてしまうのだろうとは思うが、それとは別に山城は自分の隙や弱みを九条には積極的に見せても良いと思っていたように思えてならない。

ゆえにかわいいわが子の反逆は耐えがたく許しがたいため、声を荒げたのだろう。

前回は山城に焦りは見えないという風に見て取れたが単純に九条が自分の悪事を知っていようが知っていまいが、敵対することは有りえないと思っていたのかもしれない。

もう一つ今回は家守家が輝幸のお世話になるまでの背景が少し表現された。

家守父は身体的には元気なのかもしれないが認知症の状態だったようだ。

認知症について少し調べてみたが、一例として

・「物忘れとは違い、体験そのものを忘れる」=昨日の夕食で何を食べたか忘れるのが「物忘れ」、食べたことを忘れるのが「認知症」

・暴力的になったりする

・モノが何だか分からなくなる

などの状態に陥るようだ。

タイガーバームは何かと間違えて食べてしまったのではなく、それが何なのかわからない、という状況で、売り場にあるものを使ったり食べたりしてはいけない、という状況についてもわからない状態であったようだ。

家守はスーパーで見かけた老人を「ババア」と言っているが父について回顧するときは「ジジイ」などではなく、丁寧に「お父さん」と思い出している。

家守についての描写はここまであまりないので「フン」といっている不敵な感じの家守が強がっているだけなのか、もはや父の死は割り切って金銭的な問題しか興味がないのかはわからないが、普通に読むと認知症であっても思い出す父に対してまず浮かぶ言葉は「お父さん」であり、面倒を見たいものの苦しみながら介護施設に入ってもらったという形なのかもしれない。

九条の大罪 第15審 の展開は?

まだまだそう簡単に終わりそうではないが、単純に山城が九条に不意を突かれたようなリアクションであったため、意外と一瞬で九条が追い込んでしまうような展開もあり得るのかと思う。

少なくとも九条は市役所に照会をかけ、遺書が無効なのであれば、訴訟を起こすというところまでは描けているようだ。

いっぽう山城からすると、九条に不意を突かれたのは想定外だったとしても、普通の弁護士が考えてお金を簡単に取り返せるような凡ミスはしていないのではないかと思われる。

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