九条の大罪 第10審 家族の距離② 感想

真鍋昌平 ビッグコミック 九条の大罪 漫画

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これまでの登場人物
  • 九条 間人(くじょう たいざ) 弁護士
  • 鞍馬蔵人(くらま くろうど)検事。九条の実兄
  • 烏丸 真司(からすま しんじ)九条の事務所のイソベン(=居候弁護士。弁護士事務所に雇われている弁護士のこと)
  • 壬生 憲剛(みぶ けんご)自動車整備会社社長・コワモテ
  • 流木 信輝(ながらき のぶてる)白髪の高齢の弁護士 九条の父と面識あり
  • 山城 (やましろ) 弁護士 九条の父と面識あり
  • 金本 卓(かねもと すぐる)大柄な不良 力士を目指していたらしい 父がヤクザ
  • ミヨコ 金本の同居人
  • 曽我部 聡太(そがべ そうた) 配達員 壬生の後輩の下の人間らしい
  • 薬師前 仁美(やくしまえ ひとみ) ソーシャルワークつぼみ代表の女性。烏丸の知り合い

九条の大罪 第10審 あらすじ ネタバレ注意

ランニング後なのか、ランニング中なのか、そのままの服で墓参りをする九条。

父親の墓参りを行っている。

勘当された人間が人様の墓の前で何をしてる?

九条の大罪 第10審 家族の距離②  ビックコミックスピリッツ

向き合うのは鞍馬蔵人(くろうど)、九条の兄で検事だ。

「花を持って帰れと」命令する鞍馬蔵人

その口調、態度に「高圧的で父にそっくり」と九条が応える

「だらしないから」「学生遊び呆けて司法試験に五回も落ちた馬鹿な半端者」「ろくでもない連中のろくでもない案件しか仕事がないだろ」「鞍馬家の恥さらし」

と罵る

鞍馬蔵人にとって九条は弟であるが鞍馬家にとっても鞍馬蔵人にとってもありがたくない、恥ずかしい人間と捉えているようだ。

あなたにはみえてなくて私にはみえてるものがある と罵声に対し応える九条

なんだそれは、と鞍馬蔵人が聞き返す。

自分で考えると良い、といなす九条。

説得できないからだろ、逃げてばかりの負け犬。と鞍馬蔵人が追い打ちをかける。

好きに言え。話す気にもならんよ、と九条は言いその場を離れる。

河口。

水死体が上げられる。

新入りと先輩が死体の体温から死亡推定時刻を割り出そうとしている。

肛門から体温を測るらしく、出てきた体温計がポッキーのようで気持ち悪いらしい。

事故現場を離れた焼肉屋で新入りと先輩にさらに嵐山刑事(参照:第8審)も加わる

壬生は疑われている。

昔はやんちゃだった壬生だが、今は表向きは自動車整備工場の社長、裏では伏見組と繋がりセキュリティや水商売で荒稼ぎ、勢力伸ばしている、と刑事は語る。

壬生についた弁護士九条について話題になるが新入りと、嵐山よりは若手であろう先輩刑事は大したことのない人間とタカをくくっている。

一方、九条は相当腕があると言い切る嵐山。

金本のような相手をカンモクさせたこと、手綱を引くのがうまくなければできない、将来厄介な相手になるぞ。と。

つづく

九条の大罪 第10審 感想

第10審にして意外なキャラの台頭である。

嵐山刑事だ。

第8審において曽我部に華麗な肩透かしを食らい鼻の穴を膨らませていた嵐山。いかにも1回限りの登場っぽいモブキャラっぽい扱いで、登場人物から省いた来たが、とりあえず加えざるを得ないやり取りである。

「敵対サイドである弁護士の九条の強さを一瞬で見抜く」といういかにも強キャラ感のある、少なくとも若手刑事二人とは違った洞察を持っているような描写である。

今回も謎の男、壬生についても様子が明らかになっており、

  • 完全なるその筋の方ではない
  • 元やんちゃ
  • ちょっと賢くなってきた
  • 人殺しをしてもおかしくないくらいの要注意人物

というような感じである。

服装と言い入れ墨と言いやっていることと言い、ウシジマくんの獅子谷兄にそっくりであり、ウシジマくん好きの私のしては、壬生の今後についても目が離せない。

本筋としては九条(鞍馬)間人の家族として、新キャラ鞍馬蔵人が現れた。

前回の話だけでは九条父の性格について測りかねる部分があったが、「弱者を守る弁護士である」という流木の評価と、「高圧的な兄は父にそっくり」という九条の態度から、人物像はよくわからない。

しかし、九条と父と兄、鞍馬家については明らかになりつつあり、基本的には学力も高く、いわば人生の勝ち組的な立ち位置を得ており、かつそのレールから外れることに対して嫌悪感を抱く、プライドの高い家に九条は生まれた。ということは間違いなさそうである。

そして、そのレールにいることに九条は違和感、疑問を持ち今は確信に近いものを得ている。

というような構図が想像される。

エリート家系の落ちこぼれであるかのような書かれ方をした九条を嵐山が有能と判断したのは第6審のやり取りでの手綱である。

金本が日和っているような描写があり、その不安に対し具体的な方法論とセットで、金本に起こる未来を想定させつつ、手の届かない範囲の金本をコントロールしたということが評価されたようだ。これは極めてまれな事例なのであろう。

兄に見えていないものとは何なのか。簡単なようで意外と複雑なことなのかもしれない。

九条が5回も司法試験に落ちたという意味について、司法試験は5年に5回しか受けられないらしい。もう一度法科大学院を修了するか、予備試験を受ける必要があるということらしい。

難関の司法試験の為、普通に受からなかったということも考えられるが、九条は故意に合格せずに、人生を遠回りしたのではないだろうか。

なぜその選択をしたのか、父との軋轢は何なのか、遠回りして得たものは何なのか。

それは東大卒のエリート烏丸が「面白い」と言っていた部分と一致しそうだ。

九条の大罪 第11審以降は?

この段階では全く読めないが、九条父、兄、元嫁、娘という「家族」は大体そろいつつあるかと思う。

今のところ全体的に家族の距離は遠いように見える九条であるがどういった内容に発展していくか全く読めず、楽しみだ。

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