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九条の大罪 第33審 あらすじ ネタバレ注意
AVの撮影が始まる。
モニターで眺めるキャップをかぶった男は粟生さんのいう通りの逸材だ、と評する。
撮影も通常1日のところを3日もかける力の入れようのようだ。
シャワーを浴びる雫は、撮影楽しいな!と喜ぶ。
パッケージの撮影はメチャクチャいい表情、天才、すごく可愛い、と褒めちぎられながら行われる。
褒められて受け入れられたのが生まれて初めて、楽しいと思う雫。
場面変わって修斗とバーで話す男。粟生である。
雫は褒め殺しにあっているだけでなく、実際素晴らしいらしい。監督も大絶賛している、という粟生。
雫は純粋で、将来の目標もないこと、エッチが大好きなこともいいと言う修斗。
未成年で性被害に遭った場合エッチが怖くなることハマる子がいるが、しずくちゃんはハマった子だという。
粟生は今の子で見た目が良く頭がいいならインフルエンサーが良く、グラビア上は薄給で事務所の得意先の接待要員、AVは単体なら身バレのリスクはあるが稼げると言う。
AV嬢は細かいことを気にしない鈍感力が必要で、もしくは、だましだまし続ける病んでいる子ならばメンタルのケアが必要であり、修斗に任せるという粟生。
場面変わって九条の事務所に白系のスーツを着た色黒の派手な男。京極に紹介されたAVメーカー、トゥールビヨン企画の代表取締役の小山と名乗っている。
AV出演強要による作品の回収について白石桃花に訴えられているという。
今回は負け筋、マスコミを使って大事になることを避けたい、という着地を打診する九条。
小山は冷静だが、業界はクリーンで、契約書も交わしており、さらに白石が300本のAV出演をしているが、それでも強制的ってあり得るかと九条に聞いている。
DVの彼氏に暴力を振るわれ金をとられた白石は亀岡麗子のところに逃げ込んだところ、なぜか彼氏ではなく矛先が自分のところに来た、と。小山が言うに白石自体とトゥールビヨンの関係は悪くないが、間に入った人権屋が主張ばかり押し付けてきて話にならないという。
承認欲求か。と言い九条は思想家や活動家は良い弁護士ではないという。
亀岡から九条に電話だ。
自分の娘がAV強要されていたらどうする?という亀岡。
出演300本以上で強要ってありえますか、DV被害から逃れる責任転嫁では?と指摘する九条に、亀岡は質問返しで逃げているという。
九条は反社の弁護をしているが弁護人にも依頼人を選ぶ権利があり、九条は犯罪の助長をしていると亀岡は続けて指摘する。
正義の判断を弁護士が下すのは賢明と思わないという九条に、弁護士以前に人間ならば善悪の判断くらい自分でしなきゃという亀岡。
強者の悪人に仕えたらいずれ飲み込まれる、と告げる。
つづく
九条の大罪 第33審 感想
雫はどうもAV女優として逸材らしい。
雫の第2の人生はじまる
現場の人たちの喜びを見る限り、短期的に撮影をこなしたり演技をしたりすることについても優れているらしい。修斗の見る目は少し異なり、もう少し長期的な目線に立っても目標もなく、純粋な雫はAV女優向きであるという。
また、性被害のショックをうけたが、エッチが好きになったとも言う。
いわゆるスポーツでいうと心技体が揃っているような状態で、初の作品で人気が出るのかもしれないが、少なくとも修斗や粟生の話の中ではAV業界に継続して勤める上でも理想的な存在のようだ。
特に雫はないがしろにされてきた自分の価値、承認欲求が満たされていることに喜びを感じている。
一歩引いて状況を見る我々からすると、カメラマンが雫を乗せるため、罪悪感を消し、やっていることを正当化するため、また仕事を続けるために盛り上げていることはあからさまだが、誰だって褒められて悪い気はしない。ましてや純粋な雫であればなおのこと、自分は認められ、すごい、という風に思い、続けたい気持ちになるのも無理もない。
結末がある程度わかる話だから気づくことかもしれないが、一方で認められ、承認欲を満たされた雫というのは果たして修斗に依存し、AV業界に足を踏み入れた雫なのだろうか。
いまはそうなのかもしれない。しかし、修斗が指摘するようにもともと雫というのは目標もなく、純粋でメンタル的に危なっかしい部分があるという状況だ。だから現状を受け容れている。
しかし、これから業界での仕事が板につくにつれ、元の精神的に満たされない雫というものは少しづつ変容していくのではないかと思われる。
新キャラ登場。トゥールビヨンの小山と白石桃花
白石については後ろ姿しか出ていない。小山の言いぶりからすると、DVがきっかけで亀岡に相談したが、亀岡による偏見というか、亀岡なりの理論でいうと原因はトゥールビヨンやAV業界にある、という理論を増大させ、被害を訴えているような印象だ。
トゥールビヨンというのは時計あるいはその構造を指すようで、重力=時計の角度による時間のズレをなくすようなものを示すらしい。フランス語で「渦」という意味があるようだ。
AVメーカーっぽいといえば、そうかもしれないが、何だか意味深な名前である。
少なくとも亀岡の認識する現実と、白石あるいは小山の認識する現実には結構なズレがあり、そのあたりも九条を介して適切に処理されるような気がしてならない。
九条の指摘は小山の指摘することと一致しており、要は「白石が強制されてAVに出てたって無理があるよね」ということを言っている。
質問返しを指摘した亀岡は一見正しそうに見えるが、九条の指摘である、契約書や出演本数による不信さに対しても何も答えておらず、まさに小山が言うように自分の言いたいことを一方的に言っているように聞こえる。
しかし、亀岡はある意味純粋で、自分の言いたいことを言うということは本心から九条に対して善悪の判断は自分でしないと、強い悪にはいずれ飲み込まれるから気を付けて、ということを言っているのではないかと思われる。
純粋、というのはあくまで私の感想だが、雫についても純粋と修斗が言っていた。次いで、承認欲求か、と九条が亀岡に言っていたが、これも雫に当てはまる部分だ。
見た目や生き方は全然違う二人であるが、洞察に長けた九条や修斗の表現が確かならば実は二人は似た者同士なのかもしれない。
第34審以降の展開は?
だいたいの状況やキャラクターとしては出そろった気がするが、消費の産物①で見られたように雫はまだタトゥーも入れていないし、自傷もしていない。
このあたりに至るシーンが具体的に描かれるのかは不明だが、今が雫の人生の第2章ならば、人を刺し殺した後は3章であり、もう少し、というかしばらくは2章についての描写が続くのではと思う。
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